ファイナンス 2025年6月号 No.715
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0(年)1250111111864200210001111111111011111連載経済トレンド4202442023420224202142020543210▲1▲2125パソコン125映画・演劇等入場料スポーツウェアペット・他のペット用品※メリハリ(減り張り):ゆるむことと張ること。転じて、物事の強弱などをはっきり(前年比、%)(出所)総務省「消費者物価指数」「家計調査」、内閣府「消費動向調査」(2020 年=100)300200100(注)内食は、調理食品、菓子、飲料、酒類を除く食品として筆者作成。(出所)総務省「消費者物価指数」「家計調査」選択的支出(%)100755025202220232024(%)10080基礎的支出選択的支出60全体に占める選択的支出の割合4020592022592023159252024遊園地入場・乗物代(年)食料教養娯楽(財)教養娯楽教養娯楽(サービス)・「メリハリ消費」とは、生活必需品では節約を徹底する一方、趣味や娯楽など自身の充実感につながる分野では積極的な消費を行う消費スタイルである(図表 1)。物価の高騰が長引き、消費者の物価見通しも高止まっているなか、節約疲れによりメリハリ消費が活発になっている可能性がある(図表 2、3)。・実際に、家計調査の基礎的支出(必需品的なもの)と選択的支出(贅沢品的なもの)の構成比を見ると、物価高局面で抑制されやすいはずの選択的支出は、物価が上昇し始めた 21 年以降も堅調に推移している(図表 4、5)。・以降では、基礎的支出と選択的支出の区別を踏まえながら、メリハリ消費について分析する。・まずはメリハリ消費の対象を確認する。家計調査の 10 大項目の構成比を見ると、「食料」と「教養娯楽」の支出割合が高まっている。それぞれの変化を分析すると、どちらも消費総額は増加しているが、選択的支出が牽引していることが見て取れる。物価高が影響し基礎的支出も増加しているが、メリハリ消費により選択的支出の伸びが顕著である可能性が考えられる(図表 6、7)。・代表的な品目の推移を見る。食料に関して、自炊など内食の伸びは限定的だが、選択的支出中心の外食関連は伸びている。教養娯楽財については、比較的安価なスポーツウェアやペット用品が堅調である一方、パソコンなど高額な耐久財には節約志向が見られる。他方、宿泊料や映画・演劇等入場料など教養娯楽サービスの伸びは顕著であり、体験に価値を見出す「コト消費」の活況と整合的である。必需品や高額品は節約され、サービス等は積極的に支出されている可能性がある(図表 8)。食料大臣官房総合政策課 調査員 伊藤 祐嗣/酒井 亮本稿では、メリハリ消費の実態を分析するとともに、物価高を経た消費行動の変化について考察する。メリハリ消費とはメリハリ消費の対象は何か関連ワード(%)100806040207 10 17 10 125(年)(十万円)102020(2020 年=100)15010059202359202450592020(年)内食基礎的支出(必需品的なもの)飲食料品家賃光熱費保健医療サービス変わらない(0%程度)▲2%未満▲5%未満~▲2%以上▲5%以上2%以上~5%未満2%未満5%以上592020592021592022592023(%)100806040202024(年)592021592022592023選択的支出(贅沢品的なもの)外食身の回り用品(かばんやアクセサリーなど)教養娯楽用品(ゴルフクラブやゲームなど)宿泊料基礎的支出全体に占める選択的支出の割合(左軸)分からない(%)42415920244020202021(年)(十万円)320202024(年)(2020 年=100)400300200100592024592020宿泊料592021(年)メリハリ消費メリ(=減り)消費 必需品、生活、節約志向、基礎的支出ハリ(=張り)消費 贅沢品、趣味、プレミアム志向、選択的支出させること。総合生鮮食品及びエネルギーを除く総合生鮮食品を除く総合7 10 17 10 17 10 1支出項目食料住居光熱・水道家具・家事用品被服及び履物保健医療交通・通信教育教養娯楽その他の消費支出2020 年 -2024 年増加率+1.1%▲ 0.2%▲ 0.2%▲ 0.3%0.0%0.0%▲ 0.5%+0.2%+1.1%▲ 1.2%592020592021飲酒代592022食事代 52 ファイナンス 2025 Jun.(図表 1)メリハリ消費と関連ワード(図表 2)消費者物価指数の推移(図表 6)支出項目ごとの構成比の変化(図表 8)食料、教養娯楽の名目消費支出(二人以上の世帯、後方 12ヶ月移動平均)(図表 4)基礎的支出と選択的支出の具体例(図表 3)1 年後の物価の見通し(図表 7)食料と教養娯楽における選択的支出の割合(図表 5)基礎・選択消費の構成比推移(二人以上の世帯)132「メリハリ消費」から見る消費行動の変化コラム 経済トレンド

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