ファイナンス 2025年6月号 No.715
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SPOT(*) クック諸島、ミクロネシア連邦、フィジー共和国、キリバス共和国、マーシャル諸島共和国、ナウル共和国、パラオ共和国、パプアニューギニア独立国、サモア独立国、ソロモン諸島、トンガ王国、ツバル今年は、初めての試みとして、ASEAN+3 の財務大臣が財政政策に関する意見交換を行う「ASEAN+3 財政政策対話」が実施された。同会議では、域内の財政当局が共通して直面する課題である「成長戦略と財政規律の両立」及び「高齢化社会への対応」について意見交換が行われた。日本からは、「経済あっての財政」との考え方の下、経済成長と財政健全化の両立を進めていることや、全世代型社会保障制度の構築に向けた取組などについて説明を行った。太平洋島嶼国と日本は、経済・文化・人的交流等幅広く長い交流の歴史を有する重要なパートナーであることに加え、同地域の地政学的重要性が足下で増している。このような背景から、日本は昨年から日・太平洋島嶼国財務大臣会議を開催している。本年は、加藤財務大臣が、トンガのアイサケ・エケ首相兼財務大臣とともに共同議長を務め、太平洋島嶼国 12 か国*及びアジア開発銀行(ADB)の上級スタッフが参加した。同会議においては、昨年の合意に基づき、2 回目の財務大臣会議が開催されたことが歓迎されるとともに、太平洋島嶼国の持続的かつ包摂的な開発のために重要な政策分野における日本の長年の支援に対する深い謝意と継続した支援に対する強い期待が表明された。また、(1)コルレス銀行関係の維持、(2)災害リスクファイナンスの推進、(3)国内資金動員の強化の 3つの開発課題を中心に、加藤大臣から 1 年間の日本の取組の進捗が紹介され、その後、各国のこれまでの取組及び今後の協力方針について、率直な意見交換が行われた。会議では、コルレス銀行撤退の問題が太平洋地域の経済・社会の重大な脅威であることが強調され、太平洋島嶼国から、世界銀行の太平洋島嶼国向け「コルレス銀行関係プロジェクト」に対する日本の支援等の取組に対して謝意が表明された。また、同地域の自然災害に対する財務強靱性の強化に向け、災害リスクファイナンスの推進が重要であることが再確認されたほか、日本の、「気候変動に強靭な債務条項(CRDC)」のパイロット・プログラムの開始等の取組の進捗が歓迎された。更に、持続的な財政運営に当たり、国内資金動員の強化が重要であることが強調され、日本から、OECD、IMF、世界銀行及び ADBといった国際パートナーと連携し、太平洋島嶼国の国内資金動員の強化のための追加的支援を提供する用意があることを表明した。また、経済・金融の問題について、日本と太平洋島嶼国の関係を更に強化するため、様々なレベルで緊密なコミュニケーションを継続することに合意し、同会議を ADB 総会の機会に定期的に実施することで一致した(次回は、2026 年にウズベキスタン・サマルカンドで開催予定)。III.ASEAN+3 財政政策対話IV.第2 回日・太平洋島嶼国財務大臣会議 48 ファイナンス 2025 Jun.日・太平洋島嶼国財務大臣会議で発言する加藤大臣アジア太平洋地域における地域金融協力の推進

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