SPOThttps://www.jsda.or.jp/kyoukaiin/kyoukaiin/website/tokubetu.html*15) https://www.jsda.or.jp/about/public/kekka/files/0803_sankou1.pdf*16) 特別会員については下記を参照。 *17) 日本証券業協会の協会員は、(1)「会員」、(2)「特定業務会員」、(3)「特別会員」で構成されますが、(1)「会員」は「証券会社」に相当します。この*18) バンキング勘定については服部(2023)の 6 章を参照してください。統計では(1)と(3)が回答しており、(2)は対象となる取引を行っていません。 https://www.jsda.or.jp/kyoukaiin/kyoukaiin/website/2025)で説明したとおり、債券のセカンダリー市場「登録金融機関業務に係る取扱いについてのみ報告」(詳細は後述しますが、預金取扱機関は、バンキング調査票は、翌月 10 日(当日が休業日の場合は、前営業日)までに日本証券業協会市場統計業務室へ、協会内の情報交流システムである協会 WAN を通じて提出することとされています*15。この統計の公表は、原則として毎月 20 日(当日が休業日の場合は、翌営業日)とされています。次に、この調査票を回答する協会員の説明を行います。前述の調査票を日本証券業協会に提出する主体は、協会員ですが、その中でも重要なのは、「証券会社」(会員)及び「特別会員」*16 です*17。服部(2023, は証券会社がマーケットメイクをしているため、できるだけ多くの証券会社がこの統計に参加することが、この統計の正確性に寄与します。具体的にどの証券会社が協会員であるか(この統計に報告しているか)はウェブサイトに掲載されていますが、2025 年 6 月現在、264 社の証券会社が協会員となっており、大手証券会社から小規模の証券会社を含め、ほぼすべての証券会社がカバーされています。この観点では、公社債店頭売買高は、セカンダリー市場の全容を把握できる十分なカバレッジを有すると評価できます。また、この統計には、メガバンク、地銀、信用金庫などの預金取扱機関に加え、短資会社などの「特別会員」も報告しています。ただし、特別会員の場合、している点に注意してください。筆者の現在の理解では、登録金融機関業務における取引は、いわゆるトレーディング勘定(売買目的)の取引です。もっとも、銀行などの預金取扱機関による国債など債券の売買の大部分は、(トレーディング勘定ではなく)バンキング勘定(その他有価証券や満期保有目的)*18 でなされていますが、この統計には、トレーディング勘定の売買高のみ報告されている点には注意が必要です。勘定の売買高を自ら報告していませんが、証券会社が銀行のバンキング勘定と取引し、それを調査票で報告しているので、公社債店頭売買高の中にはバンキング勘定の売買高が含まれています)。実際、債券の売買額をみると、特別会員による売買は少なく、証券会社で構成される会員の売買額が大半を占めています。次に、協会員がどのように調査票に答えるか、そのルールについて説明します。まず、この調査票において非常に重要な点は、債券の「売り」・「買い」は、顧客(投資家)を主体に、報告を行う協会員の取引の相手方(顧客(投資家))からみた「売り」、「買い」を記載するというルールで、この調査票を記入されている点です。協会員だけでなく、非協会員を含めたすべての債券市場参加者が取引の相手方の売りと買いを報告していた場合、すべての取引に売り手と買い手がそれぞれ必ず存在するため、売却総額と購入総額が一致するはずです。ただし、日本証券業協会に報告しない主体も存在するため、実際の統計において両者は一致せず、アンバランスが生まれます。このことを具体的に考えるため、以下では、まず、「証券会社(会員)同士の取引」を考え、次に「証券会社(会員)と特別会員の取引」、「証券会社(会員)と非協会員の取引」について考えていきます。証券会社(会員)同士の取引例えば、証券会社 A(会員)から、証券会社 B(会員)が国債を 1 億円買ったとしましょう。この場合、証券会社 A(会員)は、取引の相手方である証券会社B(会員)が国債を 1 億円買ったと調査票で報告します。一方、証券会社 B(会員)は、証券会社 A(会員)が国債を 1 億円売ったと調査票で報告します。このように協会員同士であれば、「買い」と「売り」がそれぞれ 1 億円でバランスします。3.3 調査票の記載方法3.2 報告者 38 ファイナンス 2025 Jun.
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