7060504030201070%%00SPOT605040南アジア南アジア30中南米・カリブ中南米・カリブ20欧州・中央アジア中東・北アフリカ中東・北アフリカ10その他高所得国その他高所得国1990年1990年2000年国際局 開発機関課 課長補佐 宇佐美 紘一*2*1) IDA 増資は、各国の総務(日本は財務大臣)の副官(Deputy)が交渉を行う慣例となっている。IDA 第 21 次増資交渉では、藤井大輔副財務官が日本*2) 本稿において意見の表明に当たる部分は、筆者個人の見解であり、財務省、日本政府の意見を代表するものではない。*3) 本章の貧困に関する統計データは、World Bank(2024a)及び世界銀行 HP(https://pip.worldbank.org)を参照。なお、1 日 3.65 ドルは低所得の交渉を担当(通称 IDA-Deputy)。国における一般的な国内の貧困線に相当。る 1 日 2.15 ドル未満で生活し、17 億人(世界人口の5 人に一人)が 1 日 3.65 ドル未満の生活を強いられて過去 30 年間で世界の貧困を巡る状況は大きく改善したが、2024 年現在、依然として、6.9 億人(世界人口の 12 人に一人)が「極度の貧困」の水準とされいる*3。こうした人々はどの地域にどのように暮らし、どのような課題に直面しているのだろうか。極度の貧困状態で生活している人口の割合(「絶対的貧困率」と呼ぶ)は、1990 年には 4 割近く(38%)であったが、2020 年には 9.7%と 1 割未満となっている。こうした状況に大きく寄与したのは、主に中国やインドなどのアジア諸国の経済発展である。1990 年には、東アジア・大洋州地域の絶対的貧困率は 65%と世界の各地域で最大であった。その後、同地域は急速な経済発展を遂げ、2020 年には 1%となっている。同様に、南アジア地域でも絶対的貧困率は 50%から13%に大きく低下している。他方、サブサハラアフリカ地域では、絶対的貧困率は 55%から 37%に低下したものの、人数ベースでは 60%以上も増加している。2024 年現在では、極度の貧困状態で生活する世界人口のうち 3 人に 2 人がサブサハラアフリカ地域で暮らしていると言われている。貧困状態にある人々の状況は一様ではないものの、最低限の栄養、衣類、住居のニーズが満たされていない場合が多く、一般的には、紛争・災害等に対する脆弱性が高く、さらには基礎的な保健医療サービスを受けられず、安全な水・衛生設備へのアクセスが低い、といった課題を抱えている。また、こうした人々が生活する国では、新型コロナに続き、燃料価格の高騰等を背景とする高インフレや世界各地での紛争の激化等の多面的なショックにより、貧困の拡大、低成長率、増加する公的債務等の課題に直面している。図1:地域別の極度の貧困率の推移図1:地域別の極度の貧困率の推移東アジア・大洋州東アジア・大洋州図2:地域別の極度の貧困人口(2024年)南アジア1.5億人サブサハラアフリカ4.6億人サブサハラアフリカ4.6億人1. はじめに −世界の貧困を巡る状況と世界銀行グループ欧州・中央アジア2000年2010年2010年2020年サブサハラアフリカサブサハラアフリカ中南米・カリブ0.2億人中南米・カリブ0.2億人中東・北アフリカ0.3億人中東・北アフリカ0.3億人2020年東アジア・大洋州0.2億人東アジア・大洋州0.2億人欧州・中央アジア0.02億人欧州・中央アジア0.02億人その他 高所得国0.07億人その他 高所得国0.07億人合計6.9億人合計6.9億人 26 ファイナンス 2025 Jun.図 1:地域別の絶対的貧困率の推移図2:地域別の極度の貧困人口(2024年)図 2:地域別の極度の貧困人口(2024 年)南アジア1.5億人国際開発協会(IDA) 第 21 次増資について*1
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