類*3 を発行してきており、テーマ別にカテゴライズすSPOT*1) 貨幣の素材や偽造防止技術等を新しくすることを「改鋳(かいちゅう)」、紙幣の偽造防止技術やデザインを新しくすることを「改刷(かいさつ)」と呼ぶ。*2) 通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律:(貨幣の種類)第 5 条 貨幣の種類は、五百円、百円、五十円、十円、五円及び一円の六種類とする。2 国家的記念事業として閣議の決定を経て発行する貨幣の種類は、前項に規定する貨幣の種類のほか、一万円、五千円及び千円の三種類とする。3 前項に規定する国家的な記念事業として発行する貨幣の発行枚数は、記念貨幣ごとに政令で定める。*3) これまでに発行した記念貨幣の一覧を財務省ホームページに掲載している。通貨法)第五条」で「国家的な記念事業として閣議の決定を経て発行する貨幣」と定められている*2。記念貨幣は令和 7 年 3 月末時点で 47 テーマ、234 種れば次のとおりとなる。・ 昭和 61 年の天皇陛下御在位 60 年記念十万円金貨等の皇室の御慶事に関するもの・ 昭和 39 年の東京オリンピック記念千円銀貨(本邦初の記念貨幣)等の国際的な行事に関するもの・ 昭和 60 年の内閣制度創始 100 周年記念五百円白銅貨等の国家の主権等に関するもの・ 昭和 63 年の青函トンネル開通記念五百円白銅貨等の国家的プロジェクトに関するもの様々なテーマで発行している記念貨幣であるが、今回紹介したいのは、「国立公園制度 100 周年記念千円銀貨(以下、国立公園記念銀貨)」である。これは、国立公園の根拠法である自然公園法の前身となる国立公園法が昭和 6 年(1931 年)に制定されてから令和13 年(2031 年)で 100 周年を迎えることを記念し発行することとしたものである。国立公園は、津々浦々に所在し、その地域を代表する観光の名所であり、象徴的な役割を担っている。国立公園自体が持つ魅力は高く、それだけでも十分な注目度や集客力はあるが、それをテーマとした記念貨幣という国の信用に基づく通貨の発行やそれに関わる広報活動により、それぞれの国立公園の存在や魅力を国内外へより一層発信していく効果が期待できる。(通貨)の話を進めたいと思う。記念貨幣の定義は「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(以下、「金貨って儲かるのか?」これは私が関東財務局水戸財務事務所での勤務時に、地域の方から聞かれた質問である。茨城県の地方公共団体や経済界等の方々に御挨拶をする際に「財務省でお金にまつわる企画立案の担当する部署にいた」という話をしていた。また時間に余裕がある時には記念貨幣や通貨の歴史等の話題を出したところ、お金を嫌いな人はいないためか、概ね興味を持って聞いて頂き、その場が盛り上がった記憶が残っている。地方勤務を振り返ってみると、記念貨幣等のお金の話題は、前述のような雰囲気を盛り上げるだけでなく、地方のキーパーソンから通貨に関する講演依頼を複数回受けるなど、連携強化にも役立ったと感じたところである(冒頭の質問に対する答えは本稿の「おわりに」をご覧頂きたい)。なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見となっている。私が所属する財務省理財局国庫課の通貨企画調整室が担当する仕事は、貨幣(硬貨)や紙幣(お札)の製造枚数の検討、偽造防止のための改鋳や改刷*1 の準備や実施、また記念貨幣の企画等を行っている。今回は表題にあるとおり記念貨幣に注目し、お金1.通貨企画調整室の仕事と記念貨幣はじめに記念貨幣の発行理財局 国庫課 通貨企画調整室長 梅村 知巳2.国立公園をテーマとした記念貨幣 22 ファイナンス 2025 Jun.地方を盛り上げる一助となる 記念貨幣の発行-経済活動に使用される通貨とは別の役割を持つもの-
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