ファイナンス 2025年6月号 No.715
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SPOT 5.4%少額随契86.9%(注)令和 5 年度調査において、契約金額が引上げ後の少額随意契約基準額以下となる一般競争契約及び随意契約を全て随意契約で行うと仮定した試算。指名競争一般競争0.9%6.8%少額以外の随契競争契約7.7%随意契約92.3%少額随契1.3%競争契約36.3%随意契約63.7%少額以外の随契62.4%一般競争33.1%指名競争3.2%ファイナンス 2025 Jun. 1995.5万件改正後(試算値)契約件数14,466 件 ▲ 2,518 件16,685 件 ▲ 73,197 件31,569 件 ▲ 16,093 件1,835 件 ▲ 1,033 件15.2兆円【金額ベース】減少件数昭和 22 年制定の地方自治法においては、契約については一条のみ、財務に関する章の雑則として規定されていた。競争入札の原則の採用を謳いつつ、「入札の価格が入札に要する経費に比較して損失相償わないとき、又は条例で定める場合に該当するときは、この限りでない」(地方自治法第 243 条第1 項)とされており、条例で随意契約の対象を定めることができる仕組みであった。昭和 38 年の地方自治法改正で財務に関する規定の抜本的な見直しが行われ、契約については条例委任を排し、随意契約事由は政令で限定列挙されることになった。ただし、少額随契の金額基準はこの改正では定められず、昭和 49 年の政令改正により、「予定価格が 30 万円を超えないものをするとき」(地方自治法施行令第 167 条の 2 第 1 項第 1 号)として初めて地方自治法体系に登場するのである。その後、昭和 57 年の政令改正において国と同様の契約の類型区分が設けられ、都道府県と指定都市については国と同一の金額、市町村(指定都市以外)については二分の一相当額(ただし 5 万円単位で切上げ)に基準額が定められた。今回の国の見直しに合わせて、以下の通り別表の改正が行われ、従前同様、都道府県及び指定都市については国と同一の金額、市町村(指定都市以外)については二分の一相当額(5 万円単位で切上げ)に引き上げられ、本年 4 月 1 日より施行されている。化を通じた行政コストの削減が期待できる。他方で、随意契約では競争を通じた契約価格の低減効果を逸することになるが、今回の見直しの対象は金額ベースでは少額の範囲に限定される。よって、全体としては競争性は十分維持されており、競争の減少による契約金額の増加は事務効率化を通じた行政コストの削減によって許容される範疇にとどまると言えるのではないか。なお、一般競争契約の契約件数について、契約の種類別に減少件数を試算したところ、全体としては 2~3 割程度の減少であるが、物品調達契約は約 8 割の減少となる見込みである。物品調達契約については、改正前基準額を若干上回る金額でかなりの件数の一般競争契約を行っていることが分かる。(表 3)5.地方公共団体少額随意契約の基準額の見直しについて(図 3)改正後の契約方式別の割合の試算値【件数ベース】(表 3)一般競争契約の契約件数(試算)契約の種類 令和 5 年度実績工事製造16,984 件物品調達89,882 件役務調達47,662 件収入原因2,868 件

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