ファイナンス 2025年6月号 No.715
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SPOT 少額以外の随契少額以外の随契一般競争0.3%競争契約3.5%随意契約96.5%少額随契90.4%一般競争16.5%競争契約17.4%随意契約82.6%少額随契76.0%指名競争3.3%6.1%指名競争0.9%6.6%少額随契4.3%随意契約71.1%少額以外の随契66.8%随意契約63.3%少額以外の随契62.5%一般競争0.8%指名競争28.1%競争契約28.9%少額随契0.8%競争契約一般競争36.7%33.5%指名競争3.2%15.2兆円0.5兆円ファイナンス 2025 Jun. 1729.8万件95.5万件(注) 昭和48年度実績は抽出調査であり、件数及び金額の単純比較はできない。昭和48年度実績令和5年度実績【件数ベース】【件数ベース】切な事案が相次いで社会問題化する。国や特殊法人が関与する公共工事の談合事件のほか、随意契約においては、高額の機器を小口分割して契約を行っていた問題、契約相手方から発注者が監修料を受け取っていた問題、随意契約要件への該当性が疑わしい中で所管公益法人等と契約を行っていた問題などである。内閣官房主導で適正化と再発防止に取り組むとともに、財務省においては「公共調達の適正化について」(平成 18年 8 月 25 日財計第 2017 号)を発出して調達手続きの適正化を促すとともに、各省各庁から契約実績の報告を求めて公表することとした。これが「契約に関する統計」であり、平成 18 年度分から公表されているが、件数が膨大であるため少額随契は対象外となっている。しかし、今般、少額随契の基準額を引き上げるのであれば、政策立案者としてはその実態と引上げの影響を把握しておきたい。そこで、令和 5 年度分契約について、少額随契を含めた国の契約の全数調査を実施した。過去の同様の調査としては、前回の基準額見直しの際に実施した昭和 48 年度分契約の抽出調査にまで遡る。全数調査と抽出調査の違いがあり単純な比較はできないが希少な統計であり、敢えてこの二つを比較してみると以下のようなことが言えるのではないか。まず、件数ベースで比較すると、競争契約の割合が約 14% ポイント増加しており、しかも昭和 48 年度においてはわずか 0.3% を占めるに過ぎなかった一般競争契約の割合が 16.5% へと大きく増加し、競争契約の太宗を占めるに至っている。その反面、随意契約の割合は減少しており、少額随契の割合は約 90%から約 76% に減少している。昭和後期まで、不誠実な業者の排除、公共工事の質の確保、受注機会の公平性の確保、発注者の事務処理等の観点から、競争契約、特に一般競争契約に対する契約発注部局のスタンスは概して否定的であった*4。ところが、昭和末期から平成初期にかけて、日米構造協議において市場開放を強く要求されたことや、ゼネコン汚職事件や政府調達協定の締結などを踏まえて、競争参加資格審査制度の改善、建設業者選定のためのデータベースの整備、履行保証制度の抜本的見直し等、一般競争契約を含めた競争契約を促進する取り組少額随意契約の基準額の見直しについて【金額ベース】【金額ベース】(図 2)国の契約における契約方式別の割合*4) 1981 年の静岡建設業協会入札談合事件等を受けて、建設省の中央建設業審議会において二度にわたり建議(「公共工事に係る入札結果の公表について」(昭和 57 年 3 月)、「建設工事の入札制度の合理化対策等について」(昭和 58 年 3 月))が行われたが、一般競争契約を一般的に採用することは困難と答申している。

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