ファイナンス 2025年6月号 No.715
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森田室長 語れることが沢山あっていいですね!私は主計局の森田です。社会保障全般に関わる仕事をしています。社会保障は、リスクや負担をシェアする、まさにシェアリングの最たるものと考えています。超高齢社会の下、今の日本の社会保障制度をどうやって未来に引き継いでいくか、すごく悩みながら仕事をしています。制度の持続可能性を考えると、現役世代の負担が大きいからサービス全体を抑えていくとか、誰かに我慢してもらう部分は必ず生じます。それをどうバランスを取り、納得して頂けるように説明するのか、毎日腐心しているところです。黒野補佐 秘書課の黒野です。職員の働き方を考える仕事をしています。厚生労働省に出向した経験から、様々な人の働き方に関心を持ちました。財務省では、この霞ヶ関の建物で約 3 千人、地方支分部局である財務局、国税局、税関などを合わせると約 7 万人の職員が働いています。長く勤めることが一般的な職場ではありますし、遠方への転勤もありますので、職員本人だけでなく家庭等の事情も含めた働きやすさを考えています。石山アンジュさん 7万人!?そんなにいるんですね。今日は、シェアリングエコノミーのほか、ルールメイキングや働き方についてもお話したいと思っています!黒野補佐 「シェアリングエコノミー」という言葉自体、個人的にはあまり馴染みがないのですが、どのようなものなのでしょうか。石山アンジュさん 実は、世界的にも決まった定義はありません。私の解釈では、いわば「お醤油の貸し借りの関係性」だと思っています。ご近所の知り合い同士で成り立つ関係が本来ですが、デジタル社会の現代は、誰がお醤油を持っていて、誰がお醤油を借りたいのか、無数に可視化できる世界です。ご近所だけではない範囲でお裾分けができるようになったのが、近年のニューエコノミーとしてのシェアリングエコノミーだと思っています。個人の時代にあっても、それぞれの個性やスキルをみんなでシェアして助け合うことが、より温かく、豊かなあり方のように感じます。「共助」が失われつつある今、そうした人と人との繋がりを再構築することで課題を解決できるような社会を作りたい。それがシェアリングエコノミーをやりたいと思った理由の一つです。ニューエコノミーとしてのシェアリングは、アメリカの Airbnb や Uber が 2008 年ぐらいから出てきて、トレンドになりました。日本はそういうテック分野では後進国ですが、実はシェアリングが必要な地域は、高齢化が進んでいるところだったりします。私が関わっているのは、自治体と連携をしながら、地方の地域交通とか、子育て、介護や働き方、こういったものをシェアリングで解決する「シェアリングシティ」という事業で、これはむしろ世界から見ると日本の方が先進的な取り組みとして海外でも取り上げられています。私が渋谷で運営する「拡張家族」というコンセプトのシェアハウスでは、新生児から 60 代まで、多世代の 40 人ほどが一緒に暮らしています。私も「ちょっと面倒見てて」と言われて他のご家庭のお子さんを一日中預かることもあります。昔の長屋みたいな暮らしを東京のど真ん中でやっている感じです。黒野補佐 そんなこともされているんですね!面白いです。石山アンジュさん 共助の再構築によって、社会保障費をもっと削減できるのではないかと思うことがあります。個人化が進むと、一人に対して制度上保障する内容は増していきますが、お互いにケアする生活が結シェアリングエコノミーについて社会保障についてファイナンス 2025 Jun. 11写真 2 石山アンジュさん FFutuuturree TTALKALK  〇〇さんと日本の未来とイマを考える〇〇さんと日本の未来とイマを考える

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