2023202220212020201920182017201620152014201320112012201020092008200720062005200420032002200100海外ウォッチャーFOREIGN WATCHER連載海外 ウォッチャー いており、2020年にGDP比8.2%に達した財政赤字は、2022年から2024年にかけて、平均してGDP比2025年の財政収支均衡を発表自然保護のための債務スワップの公表エルサルバドルコロンビア2025年予算発表11月の発行済みユーロ債の買戻し発表コスタリカジャマイカ最小~最大下位10%~上位10%エルサルバドル中央値(出典)国際保健機関(WHO)(出典)国際保健機関()90080070060050040030020010012010080604020ル化経済では、金融政策の独立性が達成できないため、マクロ経済政策が財政政策に頼らざるを得ず、硬直的である。*2) 国際金融のトリレンマにおいて、自由な資本移動、為替相場の安定、金融政策の独立性の3つの目標は同時に達成できないと示されているように、ド*3) 債務管理策として、2024年10月にレンパ川流域の自然保護のための債務スワップと11月の10億米ドルのユーロ債発行に伴う対外債務と国内延滞債務の解消が行われた。債務スワップは、JPモルガン・チェースからの10億米ドルの融資、米国開発金融公社(IFC)からの10億米ドルの政治リスク保険、およびラテンアメリカ・カリブ開発銀行(CAF)からの2億米ドルのスタンバイ信用状により資金を活用して、償還前のユーロ債を割引価格で買い戻すことにより、その節約分をレンパ川流域の水保全、保護、回復に充てるもの。(図表2)スプレッド(図表2)EMBIスプレッド(ベーシスポイント)(ベーシスポイント)(出典)ブルームバーグ、IMFスタッフレポート(出典)ブルームバーグ、スタッフレポート(図表)中南米及びカリビアン地域における殺人率(人口万人当たり)(図表1) 中南米及びカリビアン地域における殺人率 (人口10万人当たり)ファイナンス 2025 May. 85しかし、深刻なマクロ経済の不均衡は依然として続約4%と高い水準で推移した。地方への交付金の削減努力はあったものの、この継続的な財政赤字は、様々な要因の中でも、治安維持費や人件費への歳出(保健や教育分野を含む)の増加によるものである。また、公的債務は高く、2024年末にはGDP比87%に達すると推定されている。こうした財政赤字と高債務から生じる財政上の資金調達に対する懸念により、国内金融システムと年金制度に過剰な圧力がかかっている。その結果、マクロ経済上のバッファーが枯渇し、特にドル化経済による硬直性*2を考慮すると、経済財政状況は脆弱な状況だと言える。足もとでは、2025年予算で示された財政健全化策と短期的な資金需要を軽減するために実施された債務管理策*3により、2023年末には700bpsを超えていた国債のスプレッドは350bps程度まで、大幅に低下してきている。(図表2)IMFプログラム下での複数年にわたる政策アジェンダの継続的な実施は、スプレッドの更なる低下と海外直接投資の増加を促すことが想定される。また、融資額は、中央銀行の緩衝能力の低さ、大幅エルサルバドルに対するIMFプログラムは、債務の持続可能性を再確立し、中央銀行の準備金のバッファーを強化し、ガバナンスと透明性を高めることで潜在的な成長と投資を促進することを目的としている。中期的には、(1)歳出改革を中心とした取り組みにより、3年間でGDP比約3.5%の基礎的財政収支の改善を目指す、成長に配慮した財政健全化策のパッケージを確保すること、(2)銀行の流動性バッファーと中央銀行の準備金を再構築することで、金融安定性と対外セクターの健全性を強化すること、(3)財政の透明性の向上と汚職の防止及びAML/CFTの枠組みの強化等によりガバナンスを改善すること、(4)法改正等を通じて、ビットコインの民間部門で受け入れは任意としつつ、公的部門では、税金の支払いも含めて使用しないことを明記する等、ビットコインによるリスクを軽減すること、を含んだ包括的な政策パッケージの実施を予定している。な対外純投資ポジションの赤字、市場アクセスの脆弱性から生じる国際収支上の必要額を根拠として、クォータ比の360%(10億3392万SDRまたは約13.7億米ドル)としている。融資スケジュールは、国際収支上の必要額の推移、他の公的資金源からの外 IMFプログラムにおける政策枠組み
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