ファイナンス 2025年5月号 No.714
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二三SPOT(年度目標に関する内閣総理大臣との協議)第19条  【新設】財務大臣は、第十一条第一項第三号に掲げる業務(これに附帯する業務を含む。)に関し、通則法第三十五条の九第一項の規定により、年度目標を定め、又はこれを変更しようとするときは、内閣総理大臣に協議しなければならない。(主務大臣等)第21条第1項  【新設】印刷局に係る通則法における主務大臣は、次のとおりとする。一役員及び職員並びに財務及び会計にその他管理業務に関する事項については、財務大臣第十一条第一項第五号及び第六号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務に関する事項については、財務大臣及び内閣総理大臣第十一条に規定する業務のうち前号に規定する業務以外のものに関する事項については、財務大臣 64 ファイナンス 2025 May.*19) 官報の「本紙」「号外」「号外政府調達公告」「号外国会会議録」「特別号外と官報目録」を掲載。経済界の要望や国会におけるプライバシー配慮の議論を受けて、特定の個人を対象とした処分等一部の官報掲載情報は、機械検索性を抑えてオンライン公開を90日間に限定されるようになった。3−1何が変わるのか3.印刷局法改正の意義「年度目標」の策定時に財務大臣が内閣総理大臣に協【ベース・レジストリの整備及び改善】に関する業務はに当たる。本稿の冒頭で触れたように、国立印刷局は元来が財務省印刷局(当時)の事務・事業を移行した独法なので、設立以来、財務大臣による一元的なガバナンスの下に、銀行券等の他業務とバランスを取りつつ官報業務を確実に遂行してきた。その結果蓄積された強みを活用して【官報の電子化】を実現し、支えていくのであるから、引き続き財務大臣が国立印刷局を管理監督するのが自然かつ適当である。他方で、官報の発行主体である内閣総理大臣からの緊急要請と、国立印刷局の応諾義務が法定されている。この側面から官報業務の実効性を一層高めるべく、先ほど述べた議する仕組みを印刷局法第19条に設けた。同じように官報業務を通じた強みを活かすにせよ、状況が異なっている。単純に新規業務であるというだけではない。日進月歩のデジタル環境の中で、データ規格・技術仕様の見直しやシステム障害等に適切に対処しつつ、政府方針等に沿った業務運営が期待されている。つまり、独法組織全体の管理監督のほかに、技術的専門性の下で(デジタル庁による)適切な監督を受ける必要性が生じるだろう。その反面で、新規業務の突出した運営がもとで既存業務の遂行が侭ならなくなるような二律背反も厳に回避されなければならない。そこで、主務大臣について規定している印刷局法第21条に新しく項・号を立て、ベース・レジストリの関連業務(第11条第1項新5号・新6号)を特定した上で、これを財務大臣と内閣総理大臣(デジタル大臣)が共管するガバナンス態勢を構築することとした。業務間の縦割りを回避しつつ、専門性ある国立印刷局の管理監督に万全を期している。さて、ここまで長々とあらましを読んでいただいた印刷局法改正、その効果・影響は今後どのように現れてくるのだろうか。【官報の電子化】については判りやすく、4月1日の法施行を境に、制度的変更が目に見える形に調えられている。国立印刷局の「インターネット版官報」は終了し、内閣府の「官報発行サイト」を通じて、官報データが「いつでも・どこでも・無料で」閲覧・取得できるようになった*19。通常、平日の毎朝8時30分に掲示されていた官報は、今やデジタルサイネージに表示され、法令等の公布に用いられている。こうしてEU・独・仏に続き、我が国の官報も正本機能がデジタルデータへ移行してみると、次のステージが見えてくる。本稿の立法事実のくだりを思い出し

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