SPOT り*7、その効果的な基盤整備が急がれている*8。これら(2)業務の範囲(3)管理監督改正条項(1)組織の目的第3条第2項官報の電子化ベース・レジストリ○○○○[新設]―第11条第1項第20条第2項第19条第21条○[文言追加]○[号を追加]――○[項・号を新設]ファイナンス 2025 May. 59*3) 昭和32年12月28日大法廷判決。*4) 官報電子化検討会議「官報電子化の基本的考え方」(令和5年10月25日)においては、我が国の官報制度の来歴等について詳細に報告されている。*5) デジタル臨時行政調査会「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」(第4回・令和4年6月3日)及び「官報電子化の実現までの行程」(第6*6) デジタル庁「国の行政手続オンライン化の3原則」は、デジタルファースト(行政手続及びサービスをデジタルで完結)、ワンスオンリー(一度提出し*7) 「デジタル社会形成基本法」第31条・第34条。*8) 「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(デジタル行政推進法)」(平成14年法律第151号)第19条・第20条。欧州・米国・G7各国に*9) 「経済財政運営と改革の基本方針(骨太)2021」(令和3年6月18日閣議決定)及び「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和5年6月9日閣議*10) 独法制度において、個別法における目的規定は業務規定の解釈指針として機能するものと整理されている(中央省庁等改革推進本部事務局ほか)。回・令和4年12月21日)。た書類は再提出不要)、コネクテッド・ワンストップ(各種手続は一ヶ所で完結)を掲げている。おいても同様の取組みが推進されている。決定)。国立印刷局法の一部改正(官報電子化とベース・レジストリ)によるデジタルシフト2−2具体的な改正点年法律第103号)(以下、通則法)第1条が規定する「各独立行政法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定める法律」(個別法)の位置づけにあり、国立印刷局の組織・業務の在り方に関する基盤を定めている。こうした建付けもあって、独法制度の横断的見直し、つまり通則法改正等に起因するケースを除いて改正されずにきた、いわば“堅い”法律である。この印刷局法が立て続けに二度の改正に及んだのには、当然ながら、その動機となる個別の立法事実が二つある。第一に、【官報の電子化】である。明治16年(1883年)7月2日の創刊以来、我が国の官報は、国の法令等を公布する手段として法的効果をも生じさせ得る「国の公報」である*3。また、情報伝達手段の常として、紙媒体であることを前提に発行されてきた。しかし、日本国憲法の施行とともに「公式令」(明治40年勅令第6号)が廃止された昭和22年(1947年)以降、官報の発行に関する作用法は存在しておらず、官報掲載をもって法令が公布されることや紙媒体が正本であることも一種の慣習法となっていた*4。そこで、第212回臨時国会において「官報の発行に関する法律」(令和5年法律第85号)(以下、官報法)を新規立法して官報を法制化することとし、これと軌を一にして、法令データ整備や行政DXの文脈でも議論されていた官報の電子化を早期に実現する運びとなった*5。いきおい、140年余の長きにわたって官報の製造・発行を専担してきた国立印刷局に関しても、業務等の定めを改める必要が生じたわけである。第二に、【国の公的基礎情報データベース(ベース・レジストリ)の整備及び改善】というデジタル・ガバメント実現、行政DXの要請である。政府はデジタル社会の実現に向けて、国の行政機関等が保有する種々膨大な情報について円滑なデータ連携を行い、ITを活用した行政手続等に係る利便性向上等を図っていくこととしている*6。ベース・レジストリとは行政手続の基礎となる体系的なデジタルデータの集合であを背景に第213回通常国会において「デジタル社会形成基本法」(令和3年法律第35号)等の関係法令が整備されるにあたり、行政執行法人である国立印刷局を実施主体の一つに選定し、公共性の高いデジタルデータを処理する新規業務を追加することなった*9。こうした二つの立法事実について、それぞれ関係省庁等において検討が重ねられた結果が、印刷局法(を改める整備法案)の条文に落とし込まれている。ただし、一連の改正条項は、共通の枠組みで把握することができる。文脈こそ違うものの、どちらも「国立印刷局の強みを活かしてデジタル分野の業務遂行を可能とする」ことを企図した改正に変わりない。そのため条ズレ等の軽微な修正を除けば、改正点は目的・業務・監督の三点に括られる。以下、順を追って述べる。(1)目的の一部変更(第3条関係)行政執行法人の場合、その業務の変更は組織の目的に影響を及ぼす。通則法第5条は独法の目的をその類型に即して個別法で定めると規定し、印刷局法第4条は国立印刷局を「行政執行法人」の類型にあると明定している。行政執行法人とは、通則法第2条第4項によって「公共上の事務等を正確かつ確実に執行することを目的とする」独法と定義されており、その政策目的と業務内容は表裏不可分の関係にある*10。印刷局法の場合、目的規定の第3条は、同法第11
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