SPOT主務大臣(所管省庁)財務大臣(財務省)内閣総理大臣(デジタル庁※)[日本銀行][内閣府][デジタル庁等][外務省][日本郵便]銀行券(紙幣)官報デジタルデータ※旅券切手[ その他官庁・地方公共団体など ]東京工場岡山工場王子工場小田原工場彦根工場静岡工場国立印刷局※ 国の公的基礎情報データベース(社会基盤となるデータベース=ベース・レジストリ)に関する業務工場理財局国庫課通貨企画調整室 課長補佐 青山 顕2−1立法事実出所:国立印刷局本局 58 ファイナンス 2025 May.*1) 歴史を□ると、明治4年(1871年)7月27日に創設された「大蔵省紙幣司(後の紙幣寮、初代トップは渋沢栄一)」と明治16年(1883年)5月10日に設置された「太政官文書局(後の内閣官報局)」が明治31年(1898年)11月1日に併合され、幾度かの組織・名称の変更を経て、現在に至る。東京虎ノ門に所在する本局のほか全国6ヶ所7機関を擁し、本稿で扱う二つの業務は、本局及び東京工場で対応している。*2) 官報の電子化:「官報の発行に関する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律」(令和5年法律第86号)及び官報法政令(令和6年政令第309号)、ベース・レジストリ業務の追加:「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第46号)及び同政令(令和6年政令第362号)。2.国立印刷局法の改正1.ペーパーからデータへ7年4月1日をもって組織的に一つの節目を迎えた。銀行券(紙幣)、パスポート、官報、印紙、政府予算書…これらを公的な立場で「印刷」しているのが、その名のとおり国立印刷局である*1。財務省所管の独立行政法人(独法)の一つである国立印刷局は、令和先般、令和5年12月と令和6年5月の二度にわたって「独立行政法人国立印刷局法」の一部を改正する法律が成立し、それぞれ関連規定とともに同日施行に至った*2。これを受けて国立印刷局は、令和7年度以降の官報等事業において、【(正本としての)官報の電子化】に対応するとともに、新たに【ベース・レジストリの整備等に関する業務】を開始した。いわば紙と解像度UP・修正版インクを基盤とする従来業務に加えて、行政上のデジタルデータの処理等を新規業務として遂行していくこととなったのである。二度の法改正は、内容こそシンプルなものの、いずれも国立印刷局の今後の業務運営に影響を及ぼしていくものと目される。また、政府全体のデジタルシフトへの寄与も期待されている。本稿では、この国立印刷局法の改正について、立法事実や改正点など事実関係を整理し、背景・経緯にも紙幅を割きつつ施策の意義等を略述することとしたい。なお、文中の意見に関する部分は全て筆者個人の見解である。独立行政法人国立印刷局法(平成14年法律第41号)(以下、印刷局法)は、平成15年4月から当時の「財務省印刷局」を国立印刷局という独法組織として新たに発足させるために制定された法律である。先んじて成立・公布されていた独立行政法人通則法(平成11研究所国立印刷局法の一部改正 (官報電子化とベース・レジストリ)によるデジタルシフト
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