ファイナンス 2025年5月号 No.714
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SPOT金融犯罪に関するラウンドテーブルでのプレゼン出所:GFTN Forum Japan 38 ファイナンス 2025 May.*8) APGの概要及び共同議長としての日本の取組については、「我が国のAPG共同議長就任について」(「ファイナンス」令和6年11月号)に詳しい。*9) 「第79回IMF・世界銀行年次総会 加藤財務大臣総務演説(令和6年10月25日 於:ワシントンD.C.)」など。インドールで開催された合同ワークショップでのプレゼン(3)国際機関との協働(2)地域的なイニシアティブ次に、CBDCに対する見方は、各法域が抱える事情によっても大きく異なることから、地域的な観点を踏まえた検討も重要である。この点、わが国(財務省・梶川審議官)は2024年9月に、FATFの地域体の一つであるAPG(アジア太平洋マネー・ローンダリング対策グループ)共同議長に就任し、その優先事項の一つとして、「金融分野における新技術への対応」を掲げ、例えばAPGとユーラシアのFATF地域体との合同ワークショップをインドにおいて開催した*8。既述の通り、CBDCの設計・使われ方如何では、地政学的・経済安全保障的観点からも配意が必要な中、本ワークショップは、ロシア・インド・中国のパネリストと並んで、マネロンという技術的な視点から、方を把握しつつ、わが国の問題意識を打ち込む機会となった。ワークショップを通じて、ユーラシア及びアジア間のみならず、今後も地域的な連携を広げていく重要性が共有された。一方で、パネルへのオンライン参加(英語・ロシア語の中継)も認められたものの、トラブルにより中継がロシア語のみになってしまったほか、画面越しのスピーカーに対するタイムマネジメントの難しさなど、ハイブリッドかつ通訳付国際会議の運営上の課題を改めて認識したところである。こうした教訓も踏まえつつ、財務省としては、本年も、関係省庁で連携しながら金融新技術に関するセッションを設けるなどして、対話を継続していく。最後に、FATF以外の国際機関との連携・協働も重要である。特にIMFは、わが国からの資金拠出を受けて、現時点での国際的な知見やベストプラクティスを取りまとめた「CBDCハンドブック」(途上国を含む政策実務者を対象とした参照文書)の作成に取り組んでおり、既に2023年と2024年に2回に分けて、金融包摂、資本フロー、サイバーセキュリティ、データ利用とプライバシーといったテーマ(計11章)につき公表した。今後も、2026年にかけて残りの章を順次公表し、その後も最新の状況を織り込んでアップデートする予定である。わが国は、ハンドブックが、最新の知見を取り入れながら更新・充実化され、各国の政策当局者のCBDC導入に係る適切な判断とリスク対応に資するものとなるよう、引き続き支援していく方針を明確にしている*9。このうち、マネロン等対策を扱う”Financial Integrity Considerations”と題BRICS諸国における取組状況やその背景にある考え8月に東京での開催を予定しているAPG総会において

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