特 集6. スタートアップへの投資促進や「資産運用立国」の実現に向けた環境整備中小法人等の軽減税率の特例の延長等 10 ファイナンス 2025 May.資料10○法人税率の推移(2) 事業承継税制における役員就任要件等の見直し7改正(注)中小法人の軽減税率の特例(年800万円以下)について、平成21年4月1日から平成24年3月31日の間に終了する各事業年度は18%、平成24年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度については経過措置として18%、平成24年4月1日から令和9年3月31日の間に開始する各事業年度は15%。(※)昭和56年3月31日の間に終了する事業年度については年700万円以下の所得に適用。<改正の内容>・適用期限を令和8年度末まで2年延長する。同時に次の見直しを行う。-所得10億円超の中小法人等には、17%の税率を適用する。-グループ通算制度の適用を受けている法人を特例税率の対象法人から除く。(見直しの対象は、現行の特例税率の適用者の0.3%、中小企業全体の0.1%)○賃上げや物価高への対応に迫られている中小企業の状況を踏まえ、極めて所得が高い中小企業等についてのみ見直しを行った上で、適用期限を2年延長する。○リーマン・ショックの際の経済対策として時限的に設けられた措置であること等を踏まえ、次の適用期限の到来時に改めて検討する。こうした税制面での対応により、地域経済における前向きな投資を後押しする。法人版事業承継税制の特例措置における役員就任要件について、贈与の直前において(現行:贈与の日まで引き続き3年以上)特例認定贈与承継会社の役員等であることとする。あわせて、個人版事業承継税制における事業従事要件についても、同様の見直しを行う。(資料11)イノベーションを牽引するスタートアップの創出により経済成長を加速するため、スタートアップ・エコシステムを抜本的に強化していく必要がある。令和5年度税制改正で大幅に拡充したエンジェル税制について、スタートアップへの再投資をより促進する観点から、譲渡益発生年の翌年にスタートアップ投資を行った場合に、譲渡益発生年に遡って投資額に相当する金額を譲渡益から控除する繰戻し還付制度を創設し、再投資期間を延長する。他方、所得税の暦年課税の例外となる極めて異例な措置であることも踏まえ、制度の健全な利用促進を図る必要があることから、再投資非課税措置については、株式を取得した年の翌年末までに当該株式を売却した場合には課税を行うこととする。(資料12)NISAの口座数が2,000万口座を超え、貯蓄から投資への流れが加速している。前述のiDeCoの拠出限度額の引上げ等と併せて、この流れを一層着実なものとし、「資産運用立国」の取組みを後押しする。具体的には、例えば、NISAのつみたて投資枠について、上場投資信託(ETF)の最小取引単位の見直しを通じ、投資初心者に適した指数連動型のETFを購入しやすい環境を整備する。その他、金融機関変更時の即日買付を可能とするなど、NISAの更なる利便性向上のための取組みを進める。
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