104 ファイナンス 2025 May.蘇洞門青葉山(通称「若狭富士」)明通寺各地の話題連載各地の話題管内の名所御食国(みけつくに)の食文化[海のある奈良][若狭湾国定公園][青葉山(若狭富士)]小浜湾の東に突き出た内外海(うちとみ)半島の先端、久須夜ヶ岳(くすやがだけ)の北の山脚が外海に洗われてできた景勝地は「蘇洞門(そとも)」と呼ばれ、押し寄せる波が作り上げた長さ6kmに及ぶ断崖絶壁と数々の奇岩、洞門が、時折現れる滝と美しい松に映える絶景を織り成し、日本海側有数の景勝地となっています。また、平成28年4月に若狭和田ビーチが、国際環境教育基金が行う、優れたビーチやマリーナを認める環境認証「BLUE FLAG」を日本で初めて取得するなど、管内には数多くの海水浴場やSUP体験のできるスポットなどもあり、至る所で美しい海を体感することができます。管内の高浜町と京都府舞鶴市にまたがる青葉山(標高744m)は、富士山に似た形状をしていることから、登山やハイキングに人気のスポットであり、山頂からは小浜湾など周辺の景色が一望できます。古代より日本海の恵みを受け、都との交流も盛んであった若狭では、都の高度な技術で作られた、優れた仏像や寺院建築が数多く見られます。本堂と三重塔が国宝の明通寺や、奈良東大寺で行われる神事「お水取り」に先立ち、名水百選に選ばれている「鵜の瀬」で厳かに繰り広げられる「お水送り」で有名な神宮寺等があります。神事において、お水を送る小浜は、「お水取り」が行われる奈良に例えて、「海のある奈良」と呼ばれています。小浜市は、古くから朝廷に租・庸・調とは別に「贄(にえ)」と呼ばれる食料を献上する「御食国(みけつくに)」として、若狭湾で水揚げされる海産物をはじめ様々な食材を納めたとされています。また、その昔、若狭湾で水揚げした海産物が人の背に担われ、峠を越えて京の都へと多くの物資が運ばれ、運搬品の中で鯖が特に注目されたことから、近年これらの道を称して「鯖街道」と呼ぶようになり、小浜市はその起点とされています。これらの歴史も背景に、小浜市は「食のまちづくり」に取り組んでおり、味覚の宝庫とされる若狭湾の鯖をはじめ若狭ぐじ(甘鯛)、若狭カレイ、若狭ふぐ、カニなど恵まれた海の幸を使った料理はどれも絶品で、焼き鯖ずしや鯖缶といったお土産も人気です。「若狭富士」と呼ばれて親しまれています。
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