コラム フィナンシャル・レビューとは1. 本特集号を企画・編集するにあたっての動機や問題意識財務総合政策研究所(以下、「財務総研」)では、年4回程度、「フィナンシャル・レビュー」(以下、「FR」)という学術論文誌を編集・発行しています。今月のPRI Open Campusでは3月に刊行された、「公的統計の最新事情」をテーマとしたFR第159号について、責任編集者を務めていただいた宇南山卓京都大学経済研究所教授にインタビューを行い、どのような問題意識に基づく特集なのか、それぞれの論文の読みどころなどについて、「ファイナンス」の読者の皆様に、わかりやすく紹介していきます。財務総合政策研究所 総務研究部 研究官 正司 貫統財務総合政策研究所 総務研究部 研究員 上酔尾 昂平最初に、本特集号を企画・編集するにあたっての動機や問題意識について教えてください。加えて、宇南山先生に責任編集いただいた2015年3月刊行のFR122号『統計の整合性と家計行動の把握』との関連性についてもお聞かせ願います。近年、EBPM(Evidence-Based Policy Making)に代表されるように「証拠に基づく政策決定」の重要性が増してきています。そのエビデンスのベースとなるのは統計であり、統計そのものを正しく理解し、使用できることが非常に重要になります。しかし、統計は現実の経済の複雑さを反映して、複雑な構造を持っています。そのため、一般の政策担当者にとっては、専門的で技術的な論点が少なくありません。このギャップを少しでも埋めるために、政策分析をするために知っておくべき統計制度上の課題を周知し、理解してもらうことが本特集号の問題意識になります。2015年に刊行したFR122号も本特集号と同じような問題意識に基づいて企画・編集していて、FR122号は『統計の整合性と家計行動の把握』というタイトルの下、家計部門の統計に焦点を当てたものになってファイナンス 2025 Apr. 73財政・経済の諸問題について、第一線の研究者や専門家の参加の下に、分析・研究した論文を取りまとめたものです。1986年から刊行を続けており、2022年12月には通巻第150号を迎えました。[プロフィール]宇南山 卓京都大学経済研究所教授東京大学経済学部卒業後、東京大学にて博士(経済学)を取得。慶應義塾大学、京都大学、神戸大学、一橋大学で教□をとり、2020年より現職。専門は日本経済論・家計行動・経済統計。フィナンシャル・レビュー「公的統計の最新事情」の見所責任編集者 宇南山卓教授に聞く42PRI Open Campus~財務総研の研究・交流活動紹介~連載PRI Open Campus
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