ファイナンス 2025年4月号 No.713
7/92

資料1 「食料・農業・農村基本法」の改正食料・農業・農村基本法の改正資料2 「経済財政運営と改革の基本方針2024」(令和6年6月閣議決定)の抜粋【経済財政運営と改革の基本方針2024(令和6年6月閣議決定)】食料安全保障の強化や環境と調和のとれた食料システムの確立を新たな柱に位置付けるとともに農業の持続的な発展や農村の振興を図るため、基本法が四半世紀ぶりに改正されたことを受け、初動5年間で農業の構造転換を集中的に推し進められるよう、2024年度中に基本計画を改定し、施策を充実・強化するとともに、それを確実に進めるための体制を確保し、農林水産業の収益力向上の実現を通じた所得の向上を図る。令和7年度農林水産関係予算について「食料・農業・農村基本法」の改正農林水産省作成資料から作成(第3条関係)(第5条関係)(第6条関係)(第43条から第49条まで関係)ファイナンス 2025 Apr. 3環境と調和のとれた食料システムの確立農業の持続的な発展農村の振興令和7年度予算特集:3特 集 また、水田活用の直接支払交付金については、畑地化の進展に伴い、令和7年度産における交付対象水田が減少することに加え、飼料用米の一般品種の支援単価が令和6年度に引き続いて段階的に引き下げられること*2等を予算額に反映した*3。この他、例えば農林水産物・食品の輸出額を5兆円とする目標を達成するため、生産から現地販売までの一気通貫した新たなサプライチェーンの構築に向けた取組等の推進を行うなど、国内生産の増大だけでなく、食料・生産資材の安定的な輸入の確保や官民合わせた総合的な備蓄体制の推進、輸出の促進を図るための取組を措置し、総合的に食料安全保障の強化を推進することとしている。イ 環境と調和のとれた食料システムの確立食料システムを持続可能なものとするには、食料の生産が環境に負荷を与える側面にも着目し、温室効果ガスの排出削減や生物多様性の保全といったことに配慮していくことも重要である。このため、令和7年度予算では、有機農業や減農薬・減肥料といった環境負荷低減の取組に加え、生産力の向上や気候変動への対応を可能とする品種改良を実施していくこととしている。ウ 農業の持続的な発展食料生産の基盤である農地を維持するためには、農業水利施設を含む農業生産基盤の保全により、良好な(1)基本理念について、①「食料安全保障の確保」を規定し、その定義を「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態」とする。②国民に対する食料の安定的な供給に当たっては、農業生産の基盤等の確保が重要であることに鑑み、国内への食料の供給に加え、海外への輸出を図ることで、農業及び食品産業の発展を通じた食料の供給能力の維持が図られなければならない旨を規定。 ③食料の合理的な価格の形成については、需給事情及び品質評価が適切に反映されつつ、食料の持続的な供給が行われるよう、農業者、食品事業者、消費者その他の食料システムの関係者によりその持続的な供給に要する合理的な費用が考慮されるようにしなければならない旨を規定。(第2条第5項関係)(2)基本的施策として、①食料の円滑な入手(食品アクセス)の確保(輸送手段の確保等)、農産物・農業資材の安定的な輸入の確保(輸入相手国の多様化、投資の促進(第19条及び第21条関係)等)②収益性の向上に資する農産物の輸出の促進(輸出産地の育成、生産から販売までの関係者が組織する団体(品目団体)の取組促進、輸出の相手国における需要の開拓の支援等)③価格形成における費用の考慮のための食料システムの関係者の理解の増進、(第23条及び第39条関係)費用の明確化の促進等を規定。(1)新たな基本理念として、食料システムについては、食料の供給の各段階において環境に負荷を与える側面があることに鑑み、その負荷の低減が図られることにより、環境との調和が図られなければならない旨を規定。(2)基本的施策として、農業生産活動、食品産業の事業活動における環境への(第20条及び第32条関係)負荷の低減の促進等を規定。(1) 基本理念において、生産性の向上・付加価値の向上により農業の持続的な発展が図られなければならない旨を追記。(2)基本的施策として、効率的かつ安定的な農業経営以外の多様な農業者による農地の確保、農業法人の経営基盤の強化、農地の集団化・適正利用、農業生産の基盤の保全、先端的な技術(スマート技術)等を活用した生産性の向上、農産物の付加価値の向上(知財保護・活用等)、農業経営の支援を行う事業者(サービス事業体)の活動促進、家畜の伝染性疾病・有害動植物の発生予防、農業資材の価格変動への影響緩和等を規定。(第26条から第31条まで、第37条、第38条、第41条及び第42条関係)(1) 基本理念において、地域社会が維持されるよう農村の振興が図られなければならない旨を追記。(2) 基本的施策として、農地の保全に資する共同活動の促進、地域の資源を活用した事業活動の促進、農村への滞在機会を提供する事業活動(農泊)の促進、障害者等の農業活動(農福連携)の環境整備、鳥獣害対策等を規定。○「食料・農業・農村基本法」について、制定時からの変化を踏まえ、食料安全保障の確保等に向けて改正(令和6年5月成立)。食料安全保障の確保*2) 飼料用米の一般品種(主食用米と同等の品種)の支援単価について、令和6年産から令和8年産にかけて、単価(令和5年産:5.5万円〜10.5万円/10a)を段階的に5.5万円〜7.5万円/10aまで引き下げることとされている。*3) 令和9年度に向けては、生産性向上に向けて、水田政策の見直しについて検討を進める。(第2条第1項関係)(第2条第4項関係)(第22条関係)

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る