3次産業2次産業1次産業2022(図表12)主な農産物輸出品目(たばこ除く)(図表14)海外における日本食レストラン数20202018201620142012201020082006200420020小大大連載経済トレンド (万人)1201008060402001Q3Q20181Q3Q2019(千店)250アジア欧州その他200150100502013訪日外客飲食費支出額(右軸)(億円)6,0005,0004,0003,0002,0001,0000訪日外客数1Q3Q20241Q3Q20231Q3Q20201Q3Q20211Q3Q2022北米中南米合計20152017201920212023(千億円)1086420都道府県北海道青森県神奈川県石川県岐阜県三重県京都府大分県鹿児島県沖縄県順位品目1アルコール飲料2牛肉3ソース混合調味料4清涼飲料水5菓子(米菓除く)6緑茶7粉乳8りんご(生鮮)9小麦粉10スープ・ブロス生産画一的製品・規模の財務経済・標準作業製品多様化・多品種資本集約的・低原価資本集約型・高価額少量・QC改善アウトソーシングの小規模資本・高価額活用・モジュール生産EUドイツフランスイギリス豪州16.660.560.9デメリット機械やサービスのコスト就業者のITリテラシーメーカー同士の規格の違い耕地状況により一律展開が難しい輸出額(億円)主な輸出国1344570544中国、米国、韓国台湾、米国、カンボジア米国、台湾、韓国537307台湾、米国、カンボジア中国、香港、米国米国、台湾、ドイツ292172ベトナム、フィリピン、カンボジア167138137台湾、香港、タイ中国、香港、シンガポール台湾、米国、香港単位当り利益90.14,294.9①法的効果(他社への権利行使、ライセンス契約)②差別化効果(取引信用度、商品・サービス訴求力の増大)③その他の効果(組織強化、ブランドに対する自負の形成)商標十勝川西長いもたっこにんにく小田原かまぼこ加賀みそ飛騨牛乳松坂牛京つけもの関さば知覧茶沖縄そば出願人帯広市川西農業協同組合田子町農業協同組合小田原蒲鉾水産加工協同組合石川県味噌工業協同組合飛騨酪農農業協同組合松坂農業協同組合 他京都府漬物共同組合大分県漁業協同組合南さつま農業協同組合沖縄生麺共同組合(出所)特許庁、農林水産省「農林水産物・地域食品の地域ブランドの現状と課題」、「農林水産物輸出入概況」、「海外における日本食レストラン数の調査結果」、日本政府観光局「訪日外客統計」、観光庁「インバウンド消費動向調査」ビジネスモデル競争優位の源泉大量生産型コストフレキシブル生産型スコープダイレクト生産型時間・ネットワーク日本全国北海道都府県米国180.13.42.4(注)米国は、「FarmsandlandinFarms2021Summary」(米国農務省)2021年データEUは、「Eurostat」(欧州委員会)2016年データ豪州は、「AgriculturalCommodityStatistics2021」(豪州農業資源経済局)2020年データ(図表17)アグリテックのメリット・デメリットメリット農作業の省力化労働の負担軽減農業のデータ化・活用環境に優しい農業の実現(出所)石崎忠司「農業経営の企業経営化-生業的経営から企業家的経営へ-」、農林水産省「スマート農業をめぐる情勢について」、「令和6年農業構造動態調査結果(令和6年2月1日現在)」、「経営規模・生産コスト等の内外比較」、「中山間地域における優良事例集」、NTT東日本「スマート農業でアグリビジネスはどう変わる?(第2回)」生産現場加工・流通担い手生産加工=6次産業化土地改良等による高収益作物の導入集落の女性の力を活かした6次産業化の推進集落農地を一括管理する法人を設立「一団地一農場方式」を導入。法人へ農地を集積し、効率的な生産体系を確立。→コストを縮減し、収益性の高い作物の生産を実現。また、女性の力を活かした6次産業化の推進を実現。流通・販売ファイナンス 2025 Apr. 65・農業経営において付加価値を高めていくには、土地集約等による生産の合理化のみならず、類似産品との差別化により生産者の価格交渉力を高め、消費者に対する商品訴求力を向上させていくことが重要と考える。商標登録等による産地の明示化・ブランド化を通じて産地全体でマークアップ率を改善させていく取組などは、方向性の一つになるだろう(図表10)。・農産品の輸出も拡大余地がある。輸出額の推移をみると、足許では1兆円に迫る水準に到達している。品目別では、アルコール等の飲料やソース混合調味料などの加工食品が中心なるも、牛肉やりんご等一部の生鮮食品も輸出されている。異国での販路開拓など取組のハードルは高いものの、人口減による内需縮小を補う手段として、有力な選択肢となる(図表11、12)。・訪日外国人観光客も重要な消費者となるだろう。訪日外国人による飲食費支出額は円安効果も相まってコロナ禍前を大きく上回っており、外食産業を中心に需要の増加が見込まれる。日本食人気の高まりや外食チェーンの海外進出等を背景に海外における日本食レストラン数も増加しており、インバウンド消費と農産物輸出の相乗的効果に期待がかかる(図表13、14)。<商標の構成>商品(サービス)の普通名称又は商品(サービス)の慣用名称地域の名称<地域団体商標を取得する3つのメリット><産地のブランド化事例>・農業経営の成長戦略を描くうえでは、製造業で行われてきたようなビジネスモデルの導入が必要となると考える(図表15)。土地集約等の基盤整備は進展しており、徐々に大量生産型の導入は進みつつある。一方で、日本の国土事情を踏まえると大量生産型モデルの拡大は北海道など一部地域以外では限界がある(図表16)ことから、多品種少量生産及び産直販売に特化したフレキシブル生産型や、アウトソーシングの活用を通じて水平分業を志向するダイレクト生産型などの導入も重要となる。・各ビジネスモデルの導入に向けてはアグリテックの活用が必要不可欠である。省力化等のメリットを最大限に享受するうえでは、導入体制を整備しつつ、デメリットやリスクも踏まえて投資を行う必要がある(図表17)。・短期的には6次産業化(図表18)により生産者と消費者の距離を近づけ需給調整を行いやすくすると共に、産地ブランドの訴求や輸出等を通じて農業の付加価値を向上させていくことが望ましい(図表19)。中・長期的には、地域の事情や経営規模などに応じて大量生産型、フレキシブル生産型、ダイレクト生産型へとビジネスモデルの移行が進んでいくことに期待したい。(注)文中、意見に関る部分は全て筆者の私見である。(図表10)地域団体商標を活用したブランド訴求(図表15)ビジネスモデルの例(図表16)1農業経営体あたりの経営耕地 (ha)(図表11)農産物輸出額(図表13)インバウンド消費(図表18)農業の6次産業化イメージ図(図表19)取り組み事例(山口県阿武町他)コラム 経済トレンド 13034.0付加価値向上の余地農業経営の成長戦略
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