SPOT(2015年の『新源氏物語』が上演された東京宝塚劇場の内観。日比谷の帝国ホテルの対面に21世紀の幕開けと共にリニューアルオープン。特徴的な尖塔のある建物のエントランスには赤い絨毯が敷かれ、光り輝くシャンデリアがエレガントな空間を演出。宝塚歌劇の夢の舞台を支える。東京宝塚劇場 | 宝塚歌劇公式ホームページ)(京都、鴨川のほとり、六代目が昨年「現代の名工(和菓子製造)」を受賞した創業160年の和菓子の老舗「甘春堂」の「源氏の調べ」。源氏香図の「若紫」「紅葉賀」「須磨」「若菜下」を図案化した風雅なお干菓子。甘春堂提供「京都・京菓子の老舗 甘春堂 本店 | 会社概要」)1989年には月組で再演、光源氏を剣 幸、藤壺の女御19年(2007)に草野旦脚本・演出『源氏物語 あさき(瀬奈じゅんの匂宮、羽桜しずくの浮舟、霧矢大夢の薫、10年(1921)、観客数の増加に対応するため第1部を「花組」、第2部を「月組」とする2組制で公演を行うよ榛名由梨が光源氏を、上原まりが藤壺の女御を演じ…をこだま愛が演じ」、2015年にも明日海りおの光源氏で再演。源氏の君の正妻葵上から兄帝の娘で晩年に妻となった女三宮と柏木の不義までを描く。宝塚は大和和紀の漫画「あさきゆめみし」も舞台化。平成12年(2000)草野旦脚本・演出で愛華みれの光源氏が登場。同年にはテレビでも宝塚歌劇団花組による「『源氏物語 あさきゆめみし Lived in a Dream」…、三枝健起監督、唐十郎脚本)、光源氏(愛華みれ)、桐壺の更衣・藤壺の女御(大鳥れい)」も放送。平成ゆめみしⅡ』(春野寿美礼の光源氏)が、20年(2008)に大野拓史脚本・演出源氏物語千年紀頌『夢の浮橋』萬あきらの光源氏)が登場。なお、宝塚には現在、花・月・雪・星・宙の5組があるが、花組と月組は、大正うになった最も歴史ある組だという。こうして見ると、映像や舞台の世界では物語で源氏の君に最も愛された紫の上より、葵上、六条御息所、明石の君、浮舟など薄幸な姫君たちが中心になる事が多いようだ。当時は貴族の日常生活に欠かせなかった香の文化は、香道に残り、物語にちなんだ「源氏香」という遊びは、重複しうる5種類の香木を焚いて、その異同を判じ、「源氏香図」と呼ばれる図柄で表す。「源氏物語」全54帖のうち、巻頭の「桐壺」と巻末の「夢浮橋」を除いた52の帖名が図柄となり、全52通りの組み合わせに付されているという。「2008年度 京都の美術・工芸展 源氏香の世界」によると、「簡素に幾何学的な図柄は意匠文様として好まれ、…『偐紫田舎源氏』が評判になりますと、木版刷りの錦絵にこの源氏香図がしばしば登場…源氏物のもてはやされる中、源氏香図は象徴のように多用…能楽や歌舞伎の舞台装置、蒔絵意匠、女性の小物の意匠、生活工芸品の透かし文様などさまざまなところにあしらわれ、…明治以降も…建築の壁面や釘隠し、欄間や襖の意匠などにも広がりを見せ…今も伝統的な源氏香図文様の和菓子が市販され…企業の商標や社章にも使われて」いるという。辞書で「源氏」を引くと「源氏合」、「源氏絵」、「源氏絵合」、『源氏雲」、「源氏香」、「源氏国名」、「源氏酒」などと『源氏物語』にちなんだ言葉が出てくる。「源氏酒」(二組に分かれて源氏物語の巻名や人物名を応酬しつつする酒宴の遊戯)といっても源氏物語になじんでいない身にはちっとも酔えない気もするが、きっと知られているのは「源氏名」。「広辞苑」によると、「(1)源氏物語の巻名にちなんでつけられた女官の名。早蕨 60 ファイナンス 2025 Apr.(6)香道(7)源氏名など
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