SPOT 著者撮影名古屋国税不服審判所東京・名古屋新幹線通勤日記その一つとして、本部の国税不服審判所長並びに大規模支部である東京支部及び大阪支部の首席国税不服審判官には、発足以来、裁判官又は検察官出身者が就任している。また、弁護士や税理士、公認会計士などの職にあった民間の専門家も特定任期付職員として採用され(令和7年2月末現在50名在籍)、全国の審判所で活躍している*2。その他、裁判官、検察官、裁判所書記官からの出向者も配置されているし、国税組織からの出身者も、所得税や法人税といった事務系統の垣根を超えて、事件の審理を担当している。そういった点で、通常の税務署や国税局とは違う多様性があり、多角的な面からの審理が行われている点に特色がある。名古屋支部は全国12ケ所の支部の一つで、場所は名古屋市中区三の丸の官庁街の1角にある。名古屋支部の職員数は47名(静岡支所含む)で、国税出身者が多いが、国税審判官として、弁護士出身者2名、税理士出身3名、公認会計士出身1名の6名の特定任期付職員の方が勤務しており、また裁判官から1名、裁判所書記官から1名の出向者も配置されている。国税不服審判所としての事務運営は全国統一のため、名古屋支部独自の運営といったものはないが、東京支部のように人数が多くはないため、部門を超えての意見交換や他支部とのWeb会議での意見交換など、活発に行われており、全職員が顔の見える関係で、チーム力が高いことが強みとしてあるように思う。なお、仕事を進めるにあたって、読み込むべき資料は大量にあるが、職場のパソコンを持ち帰れば、自宅からも通常どおり仕事が可能であるため、私自身、仕事の状況に応じ不定期ではあるが、週1日程度、東京の自宅で在宅勤務をしている。自宅と職場をつないでのWeb会議も可能であり、私だけでなく、名古屋支部として、ワークライフバランスやBCP(事業継続計画)の観点から在宅勤務を推奨しているところである。東京駅から名古屋駅まで、新幹線「のぞみ」で最短1時間33分。朝6時から次々に新幹線は動いており、本数も多いため、直前にスマホで予約しても全然OKである。私は、朝6時台の新幹線に乗ることが多いが、新横浜を過ぎたあたりから、満席に近い状態になることも多く、いきなりパソコンを開いて、仕事モードに入るビジネス客も多い。東海道新幹線は、日本の大動脈と言われるが、まさに日本経済の大動脈であることを早朝から実感する。私自身は、守秘義務もあって職場のPCや資料を新幹線の中で開くのは厳禁であるため、自分のiPadで電子ブックを読むか動画配信サービスの視聴が多い(新幹線の中の無料Wi-Fiは弱いので、事前に自宅でダウンロードすることをお勧めする。)が、これが実は結構楽しく、車窓とモーニングコーヒーと韓流ドラマで始まる一日にハズレはない、と思えるほどである。帰りは、午後6時前後に名古屋駅発の「のぞみ」に乗ることが多いが、この時間帯となると、一般の旅行客も多く、美味しそうな駅弁とビールで一息つく乗客、爆睡モードに入る人等、様々である。日本は平和だ~などと思いながら、ここでまた一息つくと、あっという間に東京駅到着である。早起きが少々辛いが、行きも帰りも快適な新幹線の旅のため、それほど疲れは残らない。しかし、これを毎日連続でやると、さすがに体力的にキツいため、編み出した策が、間に名古屋泊を入れる、である。ファイナンス 2025 Apr. 43*2) 渡辺隆「国税不服審判所の50年〜半世紀 変わらぬ使命 これからも〜」ファイナンス令和2年5月号14頁(3)名古屋国税不服審判所の組織(1)東海道新幹線3 名古屋までの通勤の実際
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