ファイナンス 2025年4月号 No.713
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SPOT 図5 特定外国投資家に準ずる者(実質的な意思決定を掌握している例)→特定外国投資家には非該当外為法に基づく対内投資審査制度の近況者に対する投資と同様の扱いとしなければ、間接的に特定コア事業者の議決権等を取得されることとなるため、「子会社等が特定コア事業者にあたる親会社への投資等」についても規制対象としている。なお、特定外国投資家については対内直接投資等だけでなく特定取得にも同様の規定を置いたが、特定取得における特定外国投資家に準ずる者及び特定コア事業者の規定の要否については、現行制度においてもすべてのコア業種について事前届出の免除を認めていないことから、今般改正による新たな措置は講じていない。上述のように、近年の経済安全保障を巡る環境の変化を背景に、対内投資審査制度を効果的に執行し、国の安全を損なうおそれのある投資等への適切な対処が一層重要となっている。他方で、現在、政府としては、世界に開かれた国際金融センターとして日本の地位を確立することを目指しており、取引自由の原則の下、健全な経済発展に寄与する対日投資を一層促進する必要性との適切なバランスを確保することも重要である。そうした中、投資審査制度に係る透明性の向上や投資家とのコミュニケーション促進のため、2023年度版「外為法・投資審査制度-アニュアルレポート(年次報告書)」(以下「本アニュアルレポート」という。)を2024年9月に公表し、同年11月には英語版も公表した。その構成は4章で構成されており、序章の巻頭言に引き続き、第2章の制度の概要(制度総論)にて、外為法や投資審査制度の概要、投資審査制度の対象となる外国投資家や対内直接投資等の類型、指定業種、事前届出免除制度を俯瞰して、株式取得時の事前届出のフローチャートを提供している。第3章では、対内直接投資審査制度を巡る最近の状況を紹介しており、2023年度の状況、審査・モニタリング体制の強化の状況や国内外関係機関との連携について説明している。また、第4章の制度執行の状況においても定量的データを公表しており、事前届出、平均審査期間、事前届出の取下げ、報告徴求、中止・措置命令、罰則、無届、事前届出免除制度の各件数を公表している。ここではファイナンス 2025 Apr. 35役員のうち、情報収集義務者にあたる少数者が意思決定を掌握。情報収集義務者が、脅迫等により意思決定を掌握。規制の潜脱を防止する観点から、形式的には特定外国投資家の要件を満たさない投資家であっても、以下のような者を「特定外国投資家に準ずる者」とする。・情報収集義務者が実質的な意思決定を掌握していると認められる者、・設立準拠国以外の国や地域に実質的な本社があり、情報収集活動に関する当該国の法令等の影響を受ける者、・情報収集義務者等(図4①・②)との契約、又は当該契約を行った者との契約(さらに同様の契約が連なる場合、それらの各契約を含む)により、外国政府等の情報収集活動に協力するため情報を開示する義務を負う者「特定コア事業者」に対する投資に限定して事前届出を義務化(免除利用不可)その他のコア業種に対する投資について、従来の免除基準に更なる上乗せ基準(告示)を追加特定外国投資家に準ずる者更なる上乗せ基準・□コア業種に属する事業に関する非公開情報(発行会社等の役員等に係る情報又は発行会社等の財務状況に係る情報を除く)にアクセスしない。・□発行会社等に従業員を派遣しない、又、発行会社等の役員又は従業員の勧誘を行わない。✓情報収集義務者には非該当✓情報収集義務者の役員比率が□□□未満✓情報収集義務者等の資本比率が□□%未満✓その他要件にも非該当2. 2023年度版「外為法・対内投資審査制度−アニュアルレポート(年次報告書)の刊行について2特定外国投資家に準ずる者

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