ファイナンス 2025年3月号 No.712
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84 ファイナンス 2025 Mar.「スーパースマートシティ」の実現を目指し、その土600万人に達す宇都宮市では、100年先も持続的に発展できる台であるコンパクトなまち(拠点)が階層性のある公共交通でつながった「ネットワーク型コンパクトシティ(以下「NCC」)」の形成を進めています。これを支える総合的な公共交通ネットワークの要として芳賀・宇都宮LRT(以下「ライトライン」)の整備を行ってきました。令和5年8月、全線新設のLRTとしては国内初となるJR宇都宮駅東側のライトラインが開業し、令和6年11月には利用者がるなど、想定以上の多くの方にご利用いただいています。本市は、NCCを支える公共交通ネットワークの構築に向け、南北方向の鉄道とあわせ、「ライトライン」を東西方向の基軸として、各拠点間を結ぶ幹線・支線からなるバス路線や、それぞれの地域において日常生活の移動を面的にカバーする地域内交通の整備などに取り組んでいます。ライトラインは、本市東部地域に立地する工業団地への通勤者の増加による慢性的な交通渋滞の社会問題化に伴い、栃木県と本市の出資により設立された宇都宮市街地開発組合が、平成5年度に新たな交通システムを検討したことに始まります。平成25年3月には、「東西基幹公共交通の実現に向けた基本方針」を策定し、その中で、ライトラインを「NCC」の公共交通ネットワークの東西の基軸として導入することや、本市東部地域における慢性的な渋滞の緩和や公共交通空白・不便地域の解消などの効果発現が期待できることから、JR宇都宮駅から東側の約12kmの区間から優先的に整備に取り組むこと、行政が軌道や停留場等の施設・車両などを整備・保有し、民間等の営業主体が運行や日常の維持管理業務を担う「公設型上下分離方式」を採用することとしました。同年10月には、隣接する芳賀町からの要望を受けて、JR宇都宮駅東口から芳賀・高根沢工業団地付近までの約14.6kmの整備に取り組むこととし、平成28年9月に軌道運送高度化実施計画の認定、平成30年3月に工事施行認可の取得、同年5月に着工しました。そして令和5年8月、JR宇都宮駅東側のライトラインが開業し、令和6年8月にはたくさんの方に祝福されながら、開業1周年を迎えました。写真1:開業1周年記念イベント写真2:鬼怒通りの整備前と整備後はじめに1. 公共交通ネットワークの構築に向けた取組2. 東西基幹公共交通「ライトライン」について(1)「計画」から「実現」までの道のり宇都宮市建設部LRT整備課協働広報室 主事郡司 佳菜子国内初となる全線新設LRT ライトラインの歩み宇都宮市各地の話題連載各地の話題

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