ファイナンス 2025年3月号 No.712
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連載セミナー 70 ファイナンス 2025 Mar.「客先コード」があったり、「科目」があったりとなり「このアプリを作ってみて」という大きな目標だけを「今日はこれをここまでやってみてください」というで、全部印刷して、全部のセルに何のデータがどう入っているのかを、全部付箋に書き出して、ホワイトボート上に貼り出しました。例えば、お客様からもらえるデータは何だろう、と考えると、それには「得意先ナンバー」があったり、ます。次に、そのお客様から製品の内容データをいただいたら「製品名」や「図面のナンバー」がありました。そして、そこから受注になると、「受注ナンバー」がありました、という感じで、全て業務フローをすべて書き出して貼っていきました。これがすごく泥臭くて、途方もない作業なのですが、一番初めに本当に泥臭い作業をやる、ちゃんとこういうことをやっていれば、取り組みを進めた時に後戻りしなくて済みます。ですから、この作業がすごく大事になってきます。この作業をしつつ、先ほどお話したように全社員に性格診断を行いました。性格診断における6つのタイプの特徴ですが、「行動的」な方々は、リスクが大好きなタイプです。これがプラスなポイントですけれども、マイナスなポイントとしては、長続きしない、すぐに飽きてしまうタイプです。「調和型」は働いている時の心理的安全がすごく大事で、高圧的な上司がいないこと、横の同僚とのハーモナイズ、調和・安心感をすごく大事にするそうです。「創造的」な社員は自分の頭の中でいろいろな創造をすることがすごく得意らしいです。ただ、例えば、与えてしまうとパニックになってしまうそうです。ですから、この「創造的」タイプの部下に対しては、ように事細かに指示、オーダーを出すようにしました。「論理的」ですが、「論理的」タイプがいかにやる気を持ってくれて、DXをやる意義を腹落ちしてくれて、自分で自ら動いてくれるか、というのが、DXを成功させるか、失敗させるかの大きな鍵を握っています。「信念」タイプは、すごくリーダーシップがあって、こうやるべきですとか、自分の価値観をすごく言うのが得意です。ただ、プロジェクトに入った時にこのタイプが多すぎますと、みんな価値観を言い合ってぶつかったりすることがありますので、この「信念」タイプを何割ぐらい入れるのか、というのも私の中ではすごく計算してやっております。「遊び心」タイプですが、新しいことが大好きで、すごいムードメーカーです。このため、プロジェクトには必ず一人は入ってもらいます。プロジェクトがうまくいかない時でも盛り上げてくれるのです。組織で何かを成し遂げていこうという時に、必ずこの6タイプの人たちがみんなで協力し合うのがすごく大事になってきます。正規分布表でいう最初の2.5%はトップのやる気次第とお伝えしましが、次の13.5%までのところは、「論理的」タイプと「創造的」タイプを選抜してチームを作っていきました。そして、このチームを「ファーストペンギンチーム」と名付けました。「IT促進部」とか「DX推進課」とかを作ってしまうと、やはり字が難しくて、どうしても怖いイメージを与えてしまうからです。中小企業はDXだけに特化するチームを作るのが難しいです。「ファーストペンギンチーム」のメンバーは、製造部だったり、工場管理部だったり経理部だったり、通常業務を行いながら、プラスアルファでDXをやってくれたのです。そんな大変な中やってくれた、「なんか初めに海に飛び込んでくれるファーストペンギンみたいだよね」、という感じで、そのように名付けました。「いやあ、すごい、ファーストペンギンだよね」という感じで言うと、みんなの心も和らぐのと、心理的安全もつくれるので、こういったネーミングを使いました。私たちは、いきなり大きな成功を求めるのではなく、小さな「成功体験」から始めていきました。ポイントの1つ目は、「全社員の8割が関わる業務」をDX化第一号に選びました。例えば1割の社員しか(4)全社員に性格診断を行った(5)16%の先行社員(6)小さな「成功体験」から始めた

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