2.田舎×六重苦に悲鳴 68 ファイナンス 2025 Mar.松本興産株式会社取締役の松本です。よろしくお願いいたします。本日は「田舎企業がIT人材ゼロからDX日本一へ~松本興産の取組と組織を動かすリーダーシップ~」と題しまして、お話させていただきます。松本興産はここ数年DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでまいりました。そのDXに取り組む中で、いかにリーダーシップを発揮してきたか、いかにみんなを動かしてきたか、ということについて重点的に皆さんにお伝えさせていただきます。初めに、松本興産についてご紹介させていただきます。弊社は埼玉県の秩父郡小鹿野町というところにございまして、従業員は全部で240名、全グループの売上が45億円の会社で、高級車の部品を主に作っております。小鹿野町は本当に年々、若者がどんどん減ってきておりまして、労働人口で言いますと、たったの5,000人です。私が十年ほど前に松本興産に入社した時は、いかに会社のブランディングをすると若者に入社してもらえるだろうか、というのを色々試行錯誤したのですが、それではうまくいかないことに気付きまして、そうであれば、今いる社員たちをいかに教育して、リスキリングでITができる人材に育てていくか、を考え始めました。私たちが当初抱えていた課題は6つになります。1つ目は非効率な作業が多かったことです。松本興産は創業して約60年ですが、ずっと紙に書いたデータを使っていたりと、やり方が担当者に属人化していて、「このやり方が正しい」とずっとやってきているものが多いので、非効率であることに気付けないこともありました。2つ目は風通しが悪いことです。部署同士が昔はあまり仲良くなかったのです。会社全体で一緒の価値観を共有することが組織上どうしても難しくて、自分の部署の利益が良ければいいとか、自分の部署が楽できればいい、という感じになっておりました。3つ目はIT人材ゼロです。自動車部品を粛々と作ってきた企業ですので、コンピューターですとか、ITに長けている人材が本当にゼロ、全くおりませんでした。4つ目は予算がないことです。中小企業ですので、機械1台買うにも渋るぐらいなので、どうしても予算が限られていました。5つ目はDXへの嫌悪感です。4年ほど前ですが、生産管理システムをどうにかしないといけないと思い立ちまして、1,500万円かけて大きなシステムを導入した経験があるのですが、結局、ファンクションが多すぎることと、中小企業ではとても使いこなせないということで、その1,500万円を無駄にした経験があります。この経験があるので、弊社の社員たちはDXへの嫌講師演題はじめに1.松本興産について令和6年10月4日(金)開催松本 めぐみ 氏 氏松本 めぐみ(松本興産株式会社 取締役)(松本興産株式会社 取締役)田舎企業がIT人材ゼロから田舎企業がIT人材ゼロからDX日本一へDX日本一へ〜松本興産の取組と 〜松本興産の取組と 組織を動かすリーダーシップ〜組織を動かすリーダーシップ〜財務総合政策研究所Ministry of Finance, Policy Research Institute連載セミナー令和6年度 上級管理セミナー
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