□(b)Chene Streetの位置□□□□□□□□□□□□□□□□の位置□□□□SPOT図3.19:デトロイト市の一般会計歳入の内訳図図□□□□□□□□□□□□デデトトロロイイトト市市のの一一般般会会計計歳歳入入のの内内訳訳□□(出典)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□図図□□□□□□□□□□□□市市内内ののカカジジノノのの様様子子□□(出典)筆者撮影(□□□□年□月□□日)□ 40 ファイナンス 2025 Mar.処方箋の第三は、社会的連帯を拡充することである。重要なことは、社会的連帯こそが第一と第二の処方箋が機能する基礎的な条件となることである。社会的連帯を欠くところでは、そもそも社会全体に通用する真なる解は存在しないし、競争をしようにも競技場を設定することができない。再分配による格差是正は、社会的連帯を拡充する重要な経路になるが、社会的連帯は再分配そのものよりも深い課題である。本稿ではすでに(第一回で)具体的な再分配策について議論している。本節では再分配を支える原理上の議論など社会的連帯の拡充を促す取り組みをみる。具体的には、1)社会的連帯の基盤に関わる原理的議論、2)社会状態の評価方法の見直しを通じ、従前顧みられなかった課題に政策資源の動員を図る取り組みをみる。第一の社会的連帯に関わる原理的議論として、はじめにリーアム・マーフィー(Liam Murphy、ニューヨーク大学)とトマス・ネーゲル(Thomas Nagel、ニューヨーク大学)の議論を取り上げる。(第一回の)図1.9でみた通り、アメリカの富の分配は著しく不平等である。ボトム50%の所有する富は、全体(159.87兆ドル)の2.4%(3.89兆ドル)に過ぎず、トップ10%の富は67.3%にものぼる(2024年第3四半期)。アメリカの遺産税(estate tax)は基礎控除が高く(1,361万ドル、2024年)、富の格差が世代を通じて伝わることを止めることができない。マーフィーとネーゲルは、なによりも所有の神聖視というアメリカに根強い観念を改めることが必要だと指摘する。The Myth of Ownership(所有の神話)と題した著作で彼らが指摘するのは、所有とは税制等によって定義される法的な慣習(コンベンション)に過ぎず、課税前所得を絶対的な基準線として税制の適否を論ずることには意味がないということである(Murphy and Nagel, 2002)。個人が自然に手を加え、魔法のように所有が発生するという、ジョン・ロックの神話を脱し、所有はコンベンションの産物であるとしたヒュームの考えへの転回が必要であるという*14。注意したいことは、マーフィーらのコンベンショナリズム自体が、税制の具体的提案を含むわけではないことである。彼らの議論は、所有を神聖視し、富裕層に有利な税制を変えることが難しいアメリカ特有な状況下で、神話を解体する必要から出てきたものであ□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□(出典)TheCitizenResearchCouncilofMichigan(2022)□□図□□□□□□□*14) 所有からロック的な神聖さ取り払うと、所有のあり方を自由に設計する提案も可能になる。ワイルは、所有が資産の権利者に排他的な独占を与えているのは誤りであり、所有はその資産をより有効に使いうる者からの挑戦を受け付けるべきだという(Posner and Weyl, 2018)。所有の部分的共有(COST, Common Ownership Self-Assessed Tax)と名付けられた制度のもとでは、自己申告した資産評価額に基づいて税を納めつつ、当該評価額でその資産を購入したい者が現れた場合、その資産の売却を義務づける。もっとも、現実社会の所有のあり方を変えるハードルは高い。ワイルとRadicalxChangeは、オンライン上で実験的に新しい所有ルールをデザインし、その動作を実証するところからはじめているという。(3)社会的連帯(solidarity)の拡充
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