SPOT 24 ファイナンス 2025 Mar.写真6 郷土料理のドルマ。ラム肉を使用しているため好みが分かれるかもしれないが、地元特産ワインとの相性は抜群。写真7 プロフのパイ包み。周囲の席まで煙が立ち込めるほどの演出に、写真撮影を促すテンション高めの店員も加わり、まるでエンターテインメントのような雰囲気。なお見た目とは裏腹、味付けは日本人好みであった。気候変動交渉の裏側アゼルバイジャンは、古くから東西の交易路であるシルクロードの交差点として栄えてきた。そのため、同国の料理にはトルコ、イラン、ロシアなどの周辺国の影響が色濃く反映されており、羊肉、香辛料、ドライフルーツなどを使った料理が多い。旅行ガイドにはあまり書かれていないが、カスピ海付近で漁れる白身魚のグリルも美味しい。また、同国はワイン発祥の地の一つとされ、国産ワインはすっきりとした酸味が特徴的である。さらに、有名な茶葉の生産地でもあり、食後に紅茶(チャイ)を飲む文化が根付いている。今回のCOPでの裏話をもう一つ。会場内の物価は非常に高く、例えばピザが一切れ10ドル(約1,500円)と、ランチをとるだけで簡単に5,000円を超えることもあった。円安の影響もあり、物価の高さを痛感する場面が多く、会場内ではなるべく質素な食事を心がけていた。そのような中、会議終了後に市街地のレストランで地元料理を(安価に)味わうことが、ささやかな楽しみとなっていた。我々が食した代表的な伝統料理の一つが「ドルマ」(写真6)で、羊肉の□肉をブドウの葉で包んだ一品。ラムとハーブの香りが絶妙に調和し、口の中に豊かな風味が広がる。また、「プロフ」(写真7)は、羊肉、松の実、野菜、栗などが入った炊き込みご飯で、パイに包まれて提供されることもある。その見た目が王冠に似ていることから、「王様のピラフ」と呼ばれる。我々が訪れたレストランでは、提供時に上から火がつけられる演出があり、思わず写真を撮りたくなるようなインパクト抜群の一品であった。アゼルバイジャンは、シルクロードを通じて様々な文化の影響を受けながらも独自の食文化を育んできた。今回の出張では、限られた時間の中でその奥深さに触れることができ、非常に貴重な経験となった。AfterBefore
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