ファイナンス 2025年2月号 No.711
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令和6年度補正予算及び令和7年度予算について令和7年度予算は、令和6年度経済対策・補正予算と合わせて、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」へ移行するための予算としている。本予算は、前述の経済財政状況等を踏まえ、「令和7年度予算編成の基本方針(骨太2024)」(令和6年12月6日閣議決定)に沿って編成が進められたものであり、具体的なポイントは以下の通りである。【重要政策課題への対応】財源を確保しつつ複数年度で計画的に取り組んでいる重要政策課題である、(1)厳しい安全保障環境に対応するための防衛力の抜本強化、(2)「こども未来戦略」に基づくこども・子育て支援の本格実施、(3)「投資立国」の実現に向けたGX投資推進、AI・半導体産業基盤強化を着実に推進する。地方創生交付金の倍増や、内閣府防災担当の予算・定員の倍増など、重要政策に予算を重点配分する。薬価改定や高額療養費制度見直しなどの全世代型社会保障改革、教職調整額段階的引上げと教員の働き方改革といった重要課題に対応する。【経済再生と財政健全化の両立】経済・物価動向に配慮しつつ、重要政策課題に対応する中で、財政健全化を着実に推進する。地方の一般財源総額を確保しつつ、臨時財政対策債の発行額をゼロとするなど、地方財政の健全化を推進する。【「歳出の目安」における経済・物価動向への配慮】骨太2024等で示されている予算編成の考え方(いわゆる「歳出の目安」)に沿って、経済物価動向等に配慮しつつ、これまでの歳出改革努力を継続する中で、重要な政策に重点化している。社会保障関係費については、人口構造の変化に伴う増分に、年金スライド分や保育給付の上振れ相当分(令和6年人事院勧告の影響)を上乗せ(+2,500億円程度)している。非社会保障関係費については、近年の物価上昇率の変化を反映した令和6年度当初予算の「目安」(+1,600億円)と同水準を維持しつつ、公務員人件費の増により実質的に目減りしないよう、相当額を上乗せ(+1,400億円程度)している。【経済・物価動向を反映した予算編成】令和7年度予算では、経済・物価動向を反映し、令和6年人事院勧告を踏まえた公務員・教職員・保育士の給与改善、公共工事の設計労務単価の引上げ、公立学校施設の補助単価の引上げ、取引適正化の取組の推進(下請Gメン、トラック・物流Gメン、建設Gメン)等を行う。また、令和6年度補正予算で措置した重点支援地方交付金を活用し、地方公共団体の公共調達の価格転嫁円滑化(労務費等)に対応する。令和7年度予算の一般歳出については、68兆2,452億円であり、これに地方交付税交付金等19兆784億円及び国債費28兆2,179億円を加えた一般会計総額は、115兆5,415億円となっている。歳入については、租税等の収入は78兆4,400億円、その他収入は8兆4,525億円を見込み、公債金は28兆6,490億円となっている。社会保障関係費については、薬価改定により、創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給の確保にも対応しつつ国民負担を軽減しているほか、高額療養費制度の見直しにより、制度のセーフティネットとしての持続可能性を確保しつつ現役世代を含む保険料負担を軽減するなど、様々な改革努力を積み重ねている。さらに、「こども未来戦略」に基づく「こども・子育て支援加速化プラン」の取組を本格的に進めていくために必要な予算を確保している。これらを含め、経済・物価動向等に配慮しつつ、社会保障関係費の実質的な伸びを高齢化による増加分におさめるとの方針に沿った姿を実現している。これらの結果、38兆2,778億円を計上している。文教及び科学振興費については、教師を取り巻く環境整備のため、学校における働き方改革を進めるとともに、教職員の給与及び定数について必要な措置を講じるほか、「科学技術立国」の観点から、AI・量子等(注3) 平成20年度以降、17年ぶりに、当初予算で国債発行額が30兆円を下回っている。3.令和7年度予算の概要ファイナンス 2025 Feb. 5令和7年度予算特集:1特 集 (2)令和7年度予算のフレーム(3)主要な経費の概要(1)令和7年度予算のポイント

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