中国の産業日本_27を1.5通過するドイツ_29頻度(頻度ベース集中リスク)中国の産業を通過する頻度(頻度ベース集中リスク)日本の産業を通過する頻度(頻度ベース集中リスク)日本の産業を通過する頻度(頻度ベース集中リスク)連載PRI Open Campus PRI Open Campus ~財務総研の研究・交流活動紹介~ 40図表11:日本(自然災害多発国)2020年図表12:中国(地政学的リスク国)2020年チェーンから中国の影響を排除し、デカップリングを図ろうといった米国の一連の政策には、このように見えない部分での対中依存に対する恐怖感が根底にあるのではないでしょうか。図表11及び図表12は、主要なグローバル産業について、同様に地理的集中リスクを量と頻度の二側面から補足しています。マーカーが右上にあるほどハイリスク国(日本、中国)に対するサプライチェーンの地理的集中度が高いことを表しています。二つのグラフを比較すると、日本(図表11)より、中国(図表12)でマーカーが右上に偏っていることがわかります。これは、分析対象国のサプライチェーンはおおよそ日本より中国で地理的集中が起こっていることを表しています。一方、図表11の日本のケースについてみてみますと、台湾だけが非常に強い集中度を示しており、その対日依存の高さがうかがえます。ここで、コンピューター/電子・光学機器(26部門)に注目してみると、韓国と台湾のサプライチェーンが中国の地理的集中リスクに最もさらされていることが分かります。これについては、付加価値源泉シェアとサプライチェーン通過頻度の両方において確認できます。また、米国のコンピューター/電子・光学機器部門のサプライチェーンは非常に興味深い立ち位置にあります。中国の付加価値源泉シェアの低さ(横軸)は、単純に、米国の巨大な経済規模を反映しているものと思われます。しかし一方で、縦軸方向での中国産業を経由する頻度の高さは、中国における不測の事態にさらされる確率の高さを示しており、米国のサプライチェーンの脆弱性が表れています。この図表から分かるように、一般的に量ベースと頻度ベースの集中リスクは正の相関にあるようですが、米国のコンピューター/電子・光学機器部門の事例を考えますと、量的な側面だけを見ていては全体のリスクを過小評価することになりかねない、ということが分かります。図表13及び図表14は、現在の米中対立を鑑み、米国と中国のすべての産業について互いに相手国をハイリスク国と置き、自国サプライチェーンの相手国に対する地理的集中度を、1995年と2020年の2時点で比較しました。米国のサプライチェーンの中国に対する集中は、1995年の時点において、「衣料・皮革製品」のみにみられました。しかし、2020年までに米国の全産業で中国への集中が強まった一方で、中国の対米依存には大きな変化がなく、むしろ縮小の傾向にあります。この期間において、米国の中国に対する一方的な依存関係が生じ、深まっていったことがわかります。特にそれは「自動車」や「コンピューター/電子・光学機11.米中の相互リスクポジションファイナンス 2025 Feb. 77付加価値源泉としての中国のシェア付加価値源泉としての中国のシェア(量ベース的集中リスク)(量ベース的集中リスク)3.02.52.01.51.00.50.012%10%12%0%韓国_26韓国_26台湾_26台湾_26台湾_27台湾_27ドイツ_26韓国_27韓国_27韓国_29韓国_13T15韓国_13T15台湾_13T15台湾_13T15台湾_20韓国_206%10%8%12%10%12%3.03.02.52.52.02.01.51.51.01.0米国_290.50.50.00.00%2%0%(注釈) 図中の番号はOECD国際産業連関表の産業部門コードであり、マーカーがそれぞれ各国各産業のサプライチェーンに対応している。横軸は、日本と中国が製品の付加価値源泉国として占めるシェア、縦軸は生産システムの中でサプライチェーンがこれらの国の産業を経由する頻度を示す。出典:猪俣哲史『グローバル・バリューチェーンの地政学』、2023年台湾_29台湾_29台湾_27台湾_27台湾_26米国_29台湾_26台湾_20台湾_20台湾_13T15台湾_13T154%2%6%4%8%6%10%8%3.0米国_262.5米国_26日本_13T15ドイツ_26日本_13T15日本_26日本_262.0米国_27米国_27米国_13T15韓国_29米国_13T15日本_27米国_29米国_29ドイツ_27ドイツ_27台湾_29台湾_29日本_29日本_29台湾_20韓国_201.0ドイツ_290.50.02%0%4%2%6%4%8%指数指数付加価値源泉としての日本のシェア高い集中リスク付加価値源泉としての日本のシェア(量ベース集中リスク)(量ベース集中リスク)指数指数高い集中リスク
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