□連載海外経済の 潮流□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□(出所)国家統計局□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□(出所)国家統計局(社)国有企業私営企業【図表5】国有・私営企業数【図表6】消費者信頼感指数命令など政府主導の強制力のある対策が取りやすかった可能性がある。第三に、内需の弱さが挙げられる。消費者心理を反映する消費者信頼感指数*7は2022年の上海ロックダウンを経て大きく低下し、現在も未だ回復にいたっていない。前述した1990年代、2010年代後半頃の過剰生産時は、消費意欲が強いことを示す基準の100を超えて推移していた。対して、足下では長引く消費意欲の低下が内需低迷に繋がっており、人員の削減や工場の停止など経済の減速につながる対策を実行しにくい可能性が考えられる。過剰生産そのものが問題ではないが、それにより引き起こされる価格競争や、企業の赤字、不当に安価な製品の輸出などが問題を引き起こす。世界経済のつながりがより密接になった現代において、海外での過剰生産が私たちの暮らしに影響を与える可能性も大きくなってくるため引き続き注視する必要がある。(注)文中、意見に及ぶ部分は筆者の私見である。また、誤りについては筆者に帰する。*7) 消費者の消費意欲の強さを反映する指標。100を基準とし、100を超えると好調、下がると不調となる(参考文献、出所)・一橋論叢 第131巻 第5号 岑 鏈瓊“移行経済における国有企業の再編成”(2004年5月)・経済産業省“通商白書”(2016年、2018年)・RIETI 孟 健軍“中国経済の全体像を解説する−中国を代表する経済学者胡鞍鋼教授に聞く”(2016年3月18日)・JETRO“中国の消費者心理はいつ回復するか 各種統計からみた消費者心理の状況”(2024年11月7日)4.おわりにコラム 海外経済の潮流 154 62 ファイナンス 2025 Feb.
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