ファイナンス 2025年2月号 No.711
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0連載経済トレンド2032203120302029202820272026202520242023(図表7)スリープテックの定義と主なカテゴリー(図表1)睡眠を定義する4つの指標(図表2)睡眠時間の国際比較(図表6)快眠のために月々にかける費用調査(n=2,375)(図表3)睡眠で休養がとれていると感じる人の割合(図表4)睡眠が生産性に影響を与えていると感じる人の割合(n=10,000)(図表8)Sleep Innovation Platformの活動目的と事業内容(3つのワーキンググループ)(図表5)睡眠サポート関連のセルフヘルスケア市場規模(図表9)世界の睡眠市場規模大臣官房総合政策課 調査員 田矢 祐樹/横山 修平本稿では、近年の生活様式の変化に伴い、生産性・メンタルヘルスの観点からも重要性が高まる睡眠とその市場について考察する。 54 ファイナンス 2025 Feb.睡眠の現状注目を集めるスリープテック6.07.08.0日本韓国ドイツ33か国平均カナダアメリカ中国南アフリカ7時間22分9.0(h)8時間28分(%)858075702009201220142016201820222023強く影響している20.4%影響している49.6%61.217.73.215.920304050608,000円未満5,000円未満WG1・睡眠サービスの品質向上WG2・様々な事業者間連携による高付加価値ビジネスモデルの検討・開発WG3・睡眠データの利活用促進に向けた基盤整備(億円)2,5002,0001,5001,0005002023実績(USD Billion)11010090807063.9860「健康日本21(第三次)」の目標値:80%全く影響していない8.3%影響していない21.7%18.16.35.12.320.720.9708010,000円未満9010,000円以上活動目的日本国民の健康を睡眠の視点から支援する。(年)(注)調査対象(睡眠の質の向上を訴求した製品・サービスを対象)2024見込2030予測108.21(年)(年)○一般医薬品・医薬部外品(催眠鎮静剤)○健康・機能食品(ドリンク類、食品、サプリメント)○生活用品(アイマスク、鼻腔拡張グッズ、耳栓、温熱シート・パッド)○機器・その他用品(マットレス、枕)○サービス(睡眠改善支援サービス)7.0100(注1)対象製品:Sleep Aids、Sleep Technologies, Sleep Devices, Bedding, Mattresses, Pillows, Others(注2)2023年は実績値、2024年以降は予測値リープHP、(株)富士経済「睡眠サポート関連のセルフヘルスケア国内市場を調査」現在かけている額21.6(%)0100円3,000円未満ITやAIなどの技術を活用し、人の眠りを科学的に分析したり睡眠不足を改善したりするための製品・サービス睡眠改善・支援サービス寝具スマホアプリサプリメントウェアラブル機器定義主なカテゴリー家電製品(出所)成田悠輔・柳沢正史「夜明け前のPLAYERS」、OECD2021、厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査」、「知っているようで知らない睡眠のこと」、(株)ブレインス今後かけてもいい額(注)医師、研修医、医学生を対象とした調査(出所)民間医局コネクト「睡眠アンケート」、日本経済新聞「NIKKEICOMPASS」、SleepInnovationPlatformHP、StraitsResearch「SleepMarket」・睡眠は人間にとって人生のおよそ3分の1の時間を占め、その役割や重要性に関する科学的な解明には今も研究が続けられているが、脳や身体の休息、免疫力の向上、記憶の定着など様々な効果があると言われる。睡眠の明確な定義は困難なものの、最近の研究における一説では4つの指標が存在する(図表1)。・OECD調査報告(2021年)によると、日本人の平均睡眠時間は調査対象33か国の中で最も短い結果である(図表2)。近年は情報化社会の進展等により、睡眠時間が低水準な中で睡眠の質が悪化し(図表3)、生産性低下や身体・精神疾患の増加など様々な弊害が生じるとされる(図表4)。・(株)富士経済による調査データによれば、睡眠の重要性に関する研究の進展と認知の拡大を受けて睡眠サポートの対策ニーズが増加し、様々な分野の企業が市場に参入して注目度が高まっている。ニーズの高さやターゲット人口の多さから、中長期的な市場の成長が予想されている(図表5)。1睡眠と覚醒の切り替えが素早く可逆的である2あまり動かなくなる3外からの刺激に鈍くなる4睡眠と覚醒のバランスを制御している・睡眠に対する関心が高まる中で、費用をかけてでも睡眠の質の改善を望むニーズは高く(図表6)、こうした需要を取り込もうと各業界の企業が提案を競っている。中でも、「Sleep(睡眠)」と「Technology(科学技術)」を掛け合わせた造語である「スリープテック」が注目を集めており、製品・サービスの裾野は広い(図表7)。・2022年3月には、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構や西川(株)を中心に、産学連携で睡眠マネジメントに関するコンソーシアム「SleepInnovationPlatform」が設立され、多様な業種の企業が参加し、睡眠データを利活用できるプラットフォーム構築に向けて実証実験等が進められている(図表8)。・世界の睡眠市場に関する予測調査でも継続的な成長が見込まれており、テクノロジーを活用してデータ収集を行い睡眠改善機能を提供する、ベッドやマットレスなどの寝具が成長を牽引するとされている(図表9)。128現代社会の睡眠について考えるコラム 経済トレンド

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