ファイナンス 2025年2月号 No.711
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SPOT関税局監視課調査官 武田 望昨年12月、全国9つある税関において年末特別警戒が実施されました。その期間中、横山財務副大臣、東財務大臣政務官、土田財務大臣政務官がそれぞれ横浜税関、函館税関、名古屋税関の現場を視察し、職員を激励しました。税関職員は、国民生活の安全・安心を脅かす麻薬・覚醒剤等の不正薬物、爆発物等のテロ関連物資、金地金、知的財産侵害物品等の密輸を防止するため、全国の港や空港などの水際で24時間・365日、取締りを行っています。人や貨物の移動が増える毎年12月には、税関の役割について広く国民の方々に知っていただくことや、各種業界団体の方々に不審情報の提供について協力を求めること等を目的として、昭和40年から年末特別警戒を実施し、水際における取締りの強化や税関業務のPRを行っています。税関を取り巻く情勢としては、昨年における訪日外国人旅行者数の年間累計が過去最多を記録したほか、越境電子商取引(Eコマース)の拡大に伴う輸入申告件数の急増等により、不正薬物やテロ関連物資、知的財産侵害物品等の密輸リスクも高まっている状況です。中でも、不正薬物については、税関における押収量が令和5年まで8年連続で1トンを超えており、昨年においても、上半期時点ですでに押収量が1トンを超え、深刻な状況が続いています。さらに近年の金価格の高騰等の影響により、消費税の脱税を目的とした金密輸の摘発件数・押収量も急増しており、喫緊の課題となっています。また、今年は大阪・関西万博の開催が控えております。国際的な大規模イベントは世界的に大きな注目を集め、テロの攻撃対象となり得ることから、テロの未然防止の観点からも、我が国の水際の第一線にある税関の役割は重要になっています。横山財務副大臣、東財務大臣政務官、土田財務大臣政務官の視察及び激励の様子を次頁にまとめています。副大臣、政務官から職員に対する訓示では、厳正な規律を保ち、旺盛な意欲を持って、水際の最前線で職務に精励していることに、敬意を表すとともに、(1)令和7年4月には大阪・関西万博の開催を控えるなど税関におけるテロ対策は引き続き重要であり、また、不正薬物においても税関での押収量が8年連続で1トンを超えるなど深刻な状況が続いている。さらに、金地金の密輸による摘発が急増しており、その密輸手口も巧妙化・多様化している。税関を取り巻く環境が大きく変化する中、引き続き、円滑な通関を確保しつつ、不正薬物、テロ関連物資や金地金等の密輸阻止に向け、関係機関と連携しながら、厳格な水際取締りを実施してほしい。(2)金密輸への対策は特に喫緊の課題であるため、より一層の取締り強化を実施願いたい。(3)税関行政は日々国民と直に接する仕事であることから、国民からの信頼に応えていくため、引き続き職務に励んでほしい。といった言葉がかけられました。税関では今後も引き続き、関係機関と協力して不正薬物・金地金の密輸阻止、テロの未然防止のため水際対策を強化していきます。税関業務に対する皆さまのご理解とご協力をお願いします。また、密輸やテロなど不審な情報に接した場合は、税関密輸情報窓口にご連絡をお願いします。 44 ファイナンス 2025 Feb.3.副大臣、政務官の税関視察及び激励4.おわりに1.はじめに2.年末特別警戒とは税関の年末特別警戒における副大臣、政務官の税関視察及び激励について

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