図3.14:ポリティカル・コレクトネス(横軸)、ヘイトスピーチ(縦軸)に対する見解□SPOT進進歩歩的的活活動動家家□□トの記事です」といった具合に)アイデンティティを際立たせる情報提供の仕方を減らし、広範な情報ソースに自然に触れることができる環境を作ることが一案だとする。チェンらの研究は、集団志向の心理的基盤の存在を示唆するが、社会心理学者が心理的基盤に立ち入った研究を行っている。ジョナサン・ハイト(Jonathan Haidt、ニューヨーク大学)は、道徳基盤理論(moral ている(Haidt, 2012)。ハイトは、人間の道徳には六つの基盤(ケア/危害、自由/抑圧、公正/欺瞞、忠誠/背信、権威/転覆、神聖/堕落)があるとする。ハイトはこれを保守-リベラルの枠組みに適用し、保守はこれらの六つ全てに訴えるに対し、リベラルはケア、自由、公正(特に前2者)にしか訴えず、この違いが保守のリベラルへの優位につながっていると指摘する。このことを理解することが、民主党員の年来の疑問「富の均等な再分配を重視しているのは民主党なのに、なぜ地方や労働者階級の有権者は、共和党に投票するのか」という疑問を解くという。リベラルの道徳は個人主義に偏っているが、環境問題ひとつとっても、自然環境を保護することは権威に従うこと、自然の純粋さを守ること、アメリカへの愛国心を示すこととして描くこともできるとする。集団が生存にものをいった時代には人々はより集団主義的であった。平和な時代が続き、より個人主義的に行動するようになり、西側の道徳は個人主義一本の基礎しか持たないものへと弱体化していったと指摘する。ハイトは、オバマ政権、バイデン政権に中道左派の路線を取るよう提言してきた。ステファン・ホーキンス(Stephen Hawkins、MORE IN COMMON)らのリポート(Hawkins et al., 2018)を支持し、バイデン政権の幹部に共有していた。同リポートは8,000人のアメリカ人の価値観と信条に関する調査に基づくもので、アメリカ人を七つの部族(クラスター)に分けている(熱心な保守派から進歩的活動家まで)。これらの部族に対して、「ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)は問題であるか」どうか訊くと、6つのグループが強く同意し、進歩的活動家のみが同意しない。「ヘイトスピーチは問題であるか」と訊くと、右派の2グループは50%前後、他の5グループのかなりの者が「ヘイトスピーチは問題だ」と同意しているが、特に進歩的活動家の同意が高い。図3.14は、横軸「ポリティカル・コレクトネスは問題である」、縦軸「「ヘイトスピーチは問題である」への各部族の回答をマッピングしたもので、進歩的活動家が外れ値にど、右に移動する。縦軸は「「ヘイトスピーチは問題である」との質問に、「問題である」とする者が多いほど、上に移動する。プログレッシブの活動家は、多くのアメリカ市民と乖離した外れ値であ図図□□□□□□□□□□□□ポポリリテティィカカルル・・ココレレククトトネネスス、、ヘヘイイトトススピピーーチチにに対対すするる見見解解□□(注)横軸は「ポリティカル・コレクトネスは問題である」との質問に、「問題である」とする者が多いほ 42 ファイナンス 2025 Feb.(3)分断の心理メカニズムfoundation theory)という道徳心理学の理論で知られに、「問題である」とする者が多いほど、上に移動する。進歩的活動家は、多くのアメリカ市民と乖離した外れ値であるというのが、ハイトの解釈である。(注) 横軸は「ポリティカル・コレクトネスは問題である」との質問に、「問題である」とする者が多いほど、右に移動する。縦軸は「ヘイトスピーチは問題である」との質問(出典)Hawkins et al.(2018)に基づき、筆者作成
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