ファイナンス 2025年2月号 No.711
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(iv)政府支出(i)民間最終消費支出(ii)民間住宅投資特 集(iii)民間企業設備投資(v)外需(財貨・サービスの純輸出)令和7年度の経済財政運営においては、引き続き、全ての世代の現在及び将来にわたる賃金・所得の増加を最重要課題とし、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現し、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を確実なものとしていく。令和6年度補正予算と一体的に、かつ、足元の物価高、賃金や調達価格の上昇に対応しつつ、メリハリの効いた編成を行った令和7年度予算を着実に実行に移し、切れ目のない経済財政運営を推進する。具体的には、最低賃金の引上げ、価格転嫁等の取引適正化、人手不足に対応する省力化・デジタル化投資の促進、人への投資を含む三位一体の労働市場改革に取り組む。また、DX・GX、AI・半導体等の成長分野における官民連携投資など、「投資立国」の取組とともに、国民の資産形成を後押しする「資産運用立国」の取組を進め、我が国経済を高付加価値創出型の成長経済へと転換していく。この他、地方創生2.0、防災・減災及び国土強靱化等を始め、総合経済対策及び「経済財政運営と改革の基本方針2024」(令和6年6月21日閣議決定。以下する。こうした政策対応を含め、当面の経済財政運営を推進していくに当たっては、デフレを脱却し、新たな経済のステージに移行することを目指して、「経済あっての財政」との考え方に立ち、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靱な経済・財政を作っていく。骨太方針2024を踏まえて策定した「EBPMアクションプラン2024」及び「改革実行プログラム効果的・効率的な支出(ワイズスペンディング)を徹底する。政府は、引き続き、日本銀行と緊密に連携し、デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、一体となって取り組んでいく。日本銀行には、経済・物価・金融情勢に応じて適切な金融政策運営を行うことにより、賃金と物価の好循環を確認しつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。最後に、以上のような政策態度を掲げたのちに見込まれる令和7年度の日本経済の姿を概説する。令和7年度は、総合経済対策の効果が下支えとなって、賃金上昇が物価上昇を上回り、個人消費が増加するとともに、企業の設備投資も堅調な動きが継続するなど、引き続き、民間需要主導の経済成長となることが期待される。令和7年度のGDP成長率は実質で1.2%程度、名目で2.7%程度、消費者物価(総合)は2.0%程度の上昇率になると見込まれる。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動等の影響には、十分注意する必要がある。具体的な項目別の計数は以下の通りである。物価上昇を上回る賃金上昇が普及・定着する中、増加する(対前年度比1.3%程度の増)。総合経済対策の政策効果が下支えとなるものの、資材価格が高い水準で推移する中、実質値は減少する(対前年度比0.3%程度の減)。企業の堅調な収益や高い投資意欲を背景に、総合経済対策の政策効果もあって、増加する(対前年度比3.0%程度の増)。高齢化等に伴う支出増が見込まれる一方で、総合経済対策に基づく政府支出が前年度と同程度となる中で、物価上昇の影響から、実質値はおおむね横ばいとなる(対前年度比0.0%程度)。世界経済の緩やかな成長に伴い輸出が増加する一方「骨太方針2024」という。)に基づき政策対応を推進2024」に基づき、EBPMやPDCAの取組を推進し、4.令和7年度の日本経済(見通し) 20 ファイナンス 2025 Feb.(1)各項目の見通し(ア)実質国内総生産(実質GDP)

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