ファイナンス 2025年2月号 No.711
20/92

特 集(図表3)「今後の国債の安定的な発行・消化に向けた取組について(議論の整理)」(令和6年6月21日)(抜粋)11月・12月に実施した「国債市場特別参加者会合」市場環境や研究会における議論を踏まえつつ、昨年及び「国債投資家懇談会」等において、市中発行の年限構成等について市場関係者(機関投資家、証券会社等)との対話をきめ細かく実施し、令和7年度国債発行計画を策定した。以下、その概要を述べる。令和7年度の国債発行総額は176.9兆円となっており、前年度当初比▲5.1兆円と減少傾向にはあるものの、依然として極めて高い水準が続いている。発行根拠法別の内訳(図表4左)をみると、まず、一般会計予算の歳入となる新規国債(建設国債・特例国債)は、前年度当初比▲6.8兆円の28.6兆円となっている。復興債は、東日本大震災からの復興のための施策に要する費用の財源に充てるため、復興特別税等の収入が確保されるまでのつなぎとして発行されるものであり、令和7年度は0.1兆円の発行を予定している。GX経済移行債は、今後10年間で150兆円を超えるGX投資を官民協調で実現すべく、国として20兆円規模の大胆な先行投資支援を実行するために創設され、令和7年度は0.7兆円の発行を予定している。子ども特例債は、こども・子育て政策の抜本的な強化に当たり、令和10年度にかけて安定財源を確保するまでの間に財源不足が生じないよう、必要に応じ、つなぎとして発行される。令和7年度の発行額は1.1兆円を予定している。財投債は、財政融資の新規貸付規模や財政融資資金全体の資金繰り等を勘案した結果、令和7年度は10.0兆円の発行を予定している。借換債は、過去に発行した国債の満期到来に伴う借換えのために発行するものであり、令和7年度の借換債発行額は136.2兆円となっている。消化方式別の内訳(図表4右)をみると、市場環境等を踏まえ、カレンダーベース市中発行額は172.3兆円とした。具体的な年限構成については、市場のニー2.令和7年度国債発行計画の概要 16 ファイナンス 2025 Feb.【各投資主体の国債保有の促進】(1)発行根拠法別発行額(2)消化方式別発行額今後の取組の方向性投資家⚫今後銀行が国債保有を増やしていく余地は一定程度存在し、銀銀行行がが今今後後のの国国債債のの安安定定消消化化にに果果たたすす役役割割はは大大ききいいと考えられる。ただし、2013年以降、バーゼルⅢが段階的に実施されるなど、資資本本等等にに関関すするる規規制制ややリリススクク管管理理のの枠枠組組みみにによよるる制制約約ががああるる。。⚫銀銀行行のの国国債債保保有有をを促促進進すするる観観点点かかららはは、、今後は、市場の状況やニーズを踏まえつつ、発発行行年年限限のの短短期期化化やや変変動動利利付付国国債債のの発発行行等等、、銀行市市中中にに供供給給すするる金金利利リリススクク量量のの縮縮減減をを図図るる対対応応もも必必要要ととななっってていいくくここととがが考考ええらられれるる。。⚫ただし、発発行行年年限限のの短短期期化化やや変変動動利利付付国国債債のの導導入入はは、、国国がが借借換換リリススクク・・金金利利リリススククをを負負ううここととをを意意味味すするることから、極力新たな国債保有主体の開拓を図ることが重要ではないかとの意見もあったところ。⚫規制対応の進捗や日本の人口動態等の構造的な制約を踏まえれば、中中長長期期的的にに生生命命保保険険会会社社のの国国債債保保有有額額がが大大幅幅にに増増加加ししてていいくくとといいうう展展望望はは見見込込みみ難難いいとも考えられる。これまで国債発行当局は生命保険会社のニーズも踏まえ超長期債の発行額を増額してきたが、実実際際のの投投資資動動向向をを注注視視ししつつつつ、、超超長長期期債債のの発発行行額額をを調調整整ししてていいくく必必要要ががああるる。。生保会社年金⚫今後は、「貯蓄から投資へ」の流れの中で、個人の預貯金の減少を通じ金融機関等による国債投資に影響が生じ得る。今後の債務管理政策上、国債の安定的な保有主体として期待される個人等が国債の保有を増やしていくことは重要。⚫他他国国でではは、、商商品品性性がが工工夫夫さされれたた個個人人向向けけ国国債債やや税税制制優優遇遇措措置置のの適適用用ななどど、、様様々々なな購購入入促促進進策策が講じられており、そのような他他国国のの個人投資家等事事例例もも踏踏ままええ今今後後のの取取組組をを考考ええてていいくく必必要要ががああるる。。⚫運用余地のある余剰資金を抱え、国国債債をを安安定定的的にに保保有有すするるここととがが期期待待さされれるる主主体体ととししてて、、非非営営利利法法人人やや個個人人経経営営的的なな未未上上場場法法人人等等もも考考ええらられれるる。。このような層の中には元元本本保保証証ののなないい金金融融商商品品へへのの投投資資をを避避けけるる傾傾向向ががああるる主主体体もも存存在在しし、、ここううししたた投投資資ニニーーズズにに合合っったた商商品品性性のの国国債債ががああれればば、、国国債債保保有有のの促促進進ににつつななががるると考えられる。⚫今今後後、、仮仮にによよりり多多くくのの国国債債のの消消化化をを海海外外投投資資家家にに依依存存すするるここととととななれればば、、日本の経済・財政運営が海外投資家を含め市場からどのように見られているかを一層意識する必要があり、国国債債のの格格付付けけのの維維持持・・向向上上をを含含めめ、、国国債債にに対対すするる市市場場のの信信認認をを維維持持すするるここととのの重重要要性性もも高高ままるる。。海外投資家⚫GX経済移行債を含め、今後の海外IRについては、従来の取組の中心となっている海外投資家の個別訪問に限らずオオンンラライインンセセミミナナーーもも活活用用すするるここととやや、、官官民民連連携携ししてて実実施施すするるここととななどど、、効効果果的的・・効効率率的的ににIIRRをを行行っってていいくくここととがが求求めめらられれるる。。

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る