ファイナンス 2025年2月号 No.711
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リチウム=ビス(オキサラト)ボラート(LiBOB)令和7年度税制改正(関税)についてEU(独、仏、伊)及び英国がLDC卒業国に対して特恵関税をLDC卒業後も3年適用する措置を導入済みの状況にあることから、G7広島サミット等で開発途上国との連携の重要性を訴えてきた我が国としても、特別特恵関税の適用期限を、現行のLDC卒業後1年以内から3年以内に延長する。さらに、我が国として、開発途上国との連携を強化していくとの方向性を踏まえ、特恵関税制度全体として、開発途上国の成長に一層寄与するとともに、必要とする国に恩恵が行きわたるものとなるよう、制度の在り方全体を検討し、特恵関税制度の期限到来(令和12年度末)を待たず不断の見直しを図ることが必要である。リチウム=ビス(オキサラト)ボラート(LiBOB)は、電気自動車等に使用されるリチウムイオン電池(LIB)用の電解液に使用される添加剤であり、引き続き高い需要が見込まれる化学品である。現在、国内生産者は存在せず、当分の間は国産化の可能性が低いことから、引き続き全量を輸入する状況が続くと予想される。従って、関税を無税とすることは、仕入れに係るコストの低減を通じて、関連国内産業の競争力強化に資すると認められる。他方、特定重要物資であるLIBを含む蓄電池のサプライチェーンに係る物資については、安定的な供給の確保が肝要である。従って、代替品の開発・生産支援を将来的に行う可能性も含めて、関連サプライチェーンの将来的な展開をよく見極める必要があるため、暫定税率を無税とする。シクロヘキシル(エチル)(ジメチル)アンモニウム=ブロミド(CEDMAB)及びシクロヘキシル(エチル)(ジメチル)アンモニウム=ヒドロキシド(CEDMAH)は、ディーゼルエンジンの排ガス浄化に使用されるSCR触媒に用いられるゼオライトの原料であり、国内外における自動車排ガス規制の強化への対応に向けて、需要拡大が見込まれている化学品である。当該品目は、その用途がSCR触媒に用いられるゼオライトの製造原料に限られており、需要が限定的であるため、国内生産者は存在せず、今後も引き続き全量を輸入する状況が続くと予想される。以上を踏まえ、調達安定性の確保及び国内ゼオライトメーカー等の国際競争力の維持を図るため、CEDMAB及びCEDMAHに係る基本税率を無税とする。1,6-ヘキサンジオールは幅広い製品に加工される各種化学製品の中間材料として利用される化学品であり、最終製品には国民生活に密接に関わるものが多く、引き続き高い需要が見込まれる。当該品目は、国内生産が既に終了し、安価な海外製品が市場に出回っていることに加え、国内生産の再開には多額の費用がかかることから、今後の国産化の可能性も極めて低く、関税を無税にすることによる当該品目の国内生産への追加的な影響は乏しい。以上を踏まえ、1,6-ヘキサンジオールを利用した最終製品の製造コストの抑制を通じた国内関連産業の競争力の強化のため、1,6-ヘキサンジオールに係る基本税率を無税とする。現行制度において、申告納税方式が適用される貨物を業として輸入する者は、電子取引を行った場合には、一定の要件に従って、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録(以下「電子取引データ」という。)を保存しなければならないとされている。電子取引データに記録された事項に関しては、書面によってその書類等を保存する場合と比べて、複製・改ざん行為が容易であり、また、その痕跡が残りにくいことから、納付すべき税額等の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されたものがある場合において、重加算税が賦課されるときは、その重加算税の額は、通2.個別品目の関税率の見直し3.納税環境の整備ファイナンス 2025 Feb. 9令和7年度予算特集:1特 集 経済産業省提供

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