図6 世論調査結果連載海外 ウォッチャー+ 10.0+ 8.0+ 6.0+ 4.0+ 2.0-2.0-4.0-6.0-8.0-10.00.0イネ・ツァイトゥング(F.A.Z)紙に掲載されました。同記事はアレンスバッハ世論調査研究所への委託調査結果によるものです。曰く、近いうちに経済が回復すると見込んでいる回答者は34%しかおりません。また回答者のうち44%は「ドイツは全盛期を過ぎた」と感じており、年齢別にみるとその傾向は年輩の世代ほど顕著であり、30歳未満の若年層であっても35%が悲観的です(図6)。ドイツ経済を活性化しようにも、ドイツの政治情勢は心もとない状況にあります。それについて話を進める前に、ドイツ旅行を検討中の皆さまにご案内です。現在のドイツの鉄道は欧州で最も遅延が深刻な鉄道です。悪天候でもないのに突如運行中止となることや、車両故障により途中駅で放り出されることもあります。産業革命の19世紀以降、平地が広がる国土に縦横無尽に線路を張り巡らせた鉄道大国ドイツにおいて、筆者のせっかくの鉄道旅が“stagnate”するたびに戦後の「奇跡の経済復興」とは何だったのかと虚しくなり、昨今のドイツの政治経済情勢の姿とも重なります。ドイツへご旅行の際は時間にゆとりをもった計画をお立てください。貿易と言うと、ご存知のとおりドイツは自動車大国で、大雑把に言えば自動車関連製品の輸出によって稼いできました。しかしドイツの代表的な自動車メーカーであるフォルクスワーゲン社が1937年の創業以来初めてとなる国内工場の閉鎖方針を2024年秋に打ち出し*5、また電気自動車の台頭により内燃機関車の需要が落ち込むなど、ドイツの自動車業界は近年急速に苦境に陥りつつあります。ドイツの世相を表す興味深い世論調査結果が、11月24日付の当地主要紙フランクフルター・アルゲマ問.ドイツは最盛期を過ぎたと思いますか?年齢層全体16-29歳30-44歳45-59歳60歳以上構成比100.0%96.0%52.7%21.6%21.7%4.0%43.4%-39.4%2023年実績4,185.64,017.92,205.6905.2907.1167.71,816.6▲1,649.0(出所)フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(2024年11月24日付)、アレンスバッハ世論調査研究所。調査期間:11月2日~14日、回答者数:1,049人。いいえ35%44%31%35%33%はい44%35%39%44%51%図4 実質GDP成長率の推移(2015年〜,四半期毎)図5 ドイツの名目国内総生産の内訳(2023年)*5) 2025年1月時点では、工場閉鎖はしないものの、大幅な人員削減と生産能力の減で労使間合意に至っている。コラム2定時運行をしなくなったドイツ鉄道ドイツ全土で運行しているドイツ鉄道(Deutsche Bahn:DB)は、20年以上前までは時間に正確な鉄道として知られていました。ところが近年は大幅な遅延や突然の運休が目立つようになっています。大幅な遅延とは、30分どころではなく、1時間や数時間といった幅での遅延です。2024年のDBの中間報告によれば、旅客輸送全体の定時運行率は90%ですが、長距離列車、すなわちICEのそれはわずか60%余りです。そして留意すべきは、DBの「定時運行」の定義は、旅客輸送であれば遅延幅が定刻よりも6分未満、貨物輸送であれば16分未満である場合を指します。5分の遅れは「遅延」ではないということです。また突然の運休は算入対象外です。 79 ファイナンス 2025 Jan.(%,対前年同期比,暦年日数・季節調整済)(データ出所)ドイツ連邦統計庁(単位:10億ユーロ)名目国内総生産 国内経済 家計最終消費支出 政府最終消費支出 総資本形成 貿易収支(財+サービス) 輸出 輸入(データ出所)ドイツ連邦統計庁
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