WATCHEWATCHEOREIGNOREIGN 1 1 謹賀新年 *連載海外 ウォッチャーQ2_4202Q3_4202Q1_4202Q3_3202Q4_3202Q1_3202Q2_3202Q3_2202Q4_2202Q1_2202Q2_2202Q4_1202Q2_1202Q3_1202Q4_0202Q1_1202Q2_0202Q3_0202Q4_9102Q1_0202Q3_9102Q1_9102Q2_9102Q3_8102Q4_8102Q1_8102Q2_8102Q4_7102Q2_7102Q3_7102Q4_6102Q1_7102Q2_6102Q3_6102Q4_5102Q1_6102Q3_5102Q1_5102Q2_5102消費者物価水準実質賃金水準名目賃金水準FFRRベルリンよりGuten Tag! 皆さま、新年はいかがお過ごしでしたか。2025年最初の海外ウォッチャーでは、2023年6月の着任から1年半余りを経た筆者の目線にて、政治経済を軸としつつ様々な角度からドイツの冬景色をお伝えいたします。ドイツでは日本の元旦に相当する位置づけの祝祭日がクリスマスに訪れます。人々はクリスマスイブに例えば友達とパーティーをし、25日は家族と静かに過ごし、26日は身体を休めたり掃除をしたりといった過ごし方をします。そして12月31日のジルベスターと1月1日の元日はともに休日ではあるものの「正月三が日」はなく、暦が切替わる節目でも日本の正月ほどの特別な感慨はありません。ただ、新年を迎える夜には危険を感じるほど無数のロケット花火が飛び交うのがドイツの特徴です。その風習の起源はキリスト教が浸透するよりも前に、ゲルマン民族が大きな音を立てることで悪霊を追い払う魔除けにありました。その風習が定着しているがゆえ、市民は1年の最後の3日間に限って一般の小売店で販売が許されている花火を大量に購入し、大晦日の夜に盛大に打ち放つのです。ドイツの1月は、12月に出費が嵩んだゆえの財布の寂しさも相俟って、実は1年でもっとも陰鬱な時期在ドイツ日本国大使館 二等書記官 堀内 雅史*1―寒宵のドイツの只中より*1に当たります。ただでさえドイツの冬は鈍色の曇り空に覆われ続けます。そのうえ16時過ぎには真っ暗になり、気持ちが落ち込みやすく、ビタミンDが不足するため体調も崩しやすくなります。しかし今日のドイツの暗さは、残念ながら季節に起因するものばかりではないようです。政治的にも経済的にも苦境に陥っており、その姿は例えばコロナ禍が明けて実質賃金がプラスへと回復する一方(図1)、消費者マインドがネガティブのまま推移している様子(図2)からも見て取れます。市民の消費意欲が高まらない要因は政治情勢への漠然とした不安感も含めて様々な説が唱えられております。一例としてここ数年で急上昇した消費者物価指数(HICP)を見てみましょう(図3)。市民が日常的に目にするエネルギーや飲食品の価格が跳ね上がっている様子が明らかです。図1 実質賃金水準の推移(2015年〜,四半期毎)*1) 本稿は全て筆者の個人的な見解であり、筆者の所属する組織を代表するものではありません。 75 ファイナンス 2025 Jan.(%)+ 10.0(データ出所)ドイツ連邦統計庁+ 8.0+ 6.0+ 4.0+ 2.00.0- 2.0- 4.0- 6.0- 8.0海外ウォッチャードイツの冬景色 降りしきる困難。焦がれる燈火。
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