ファイナンス 2025年1月号 No.710
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ており、iDeCoの拠出限度額は最大で約3倍になります。また、自営業者の方のiDeCo等の全体の拠出限度額も同様に7,000円引き上げます。老後に向けて資産形成を支える重要な柱として、今後とも活用を促してまいります。そのほか、金融経済教育の充実に向けた取組を進めるとともに、コーポレートガバナンス改革の推進、資産運用業の改革やアセットオーナーシップの改革に取り組んでまいります。こうした取組を含め、我が国市場の魅力を国内外へ積極的に発信してまいります。物価高によって厳しい生活を強いられる方々がいる一方で、賃金上昇が全国各地に幅広く波及していくまでには一定の時間を要するため、当面の支援措置が必要となります。また、様々な事情によって働くことができず、賃金上昇の対象とならない方々が存在することにも留意する必要があります。そこで、総合経済対策では、そうした厳しい状況に置かれている方々を念頭に、住民税非課税世帯一世帯当たり3万円を目安として、給付金の支援を行うほか、推奨メニューを拡充したうえで、「重点支援地方交付金」の更なる追加を行うことなどとしたところです。また、エネルギー価格上昇に耐え得る経済社会を実現するため、省エネ性能の高い住宅の新築等を支援します。こうした取組により、誰一人取り残されない成長型経済への移行に道筋をつけます。2つ目は、成長型経済への移行に向けた礎である、国民の安心・安全を確保することです。昨年の元日、能登半島では、コロナ禍以降、皆が待ちわびていた家族の団らんが、地震により一瞬にして奪われました。その後さらに能登半島地震の被災地を豪雨が襲い、河川の氾濫や土砂災害が相次ぎ、多くの尊い人命が失われました。こうした災害により、亡くなられた方々に哀悼の誠を捧げるとともに、被災されている方々に心よりお見舞いを申し上げます。引き続き、能登地域をはじめ、被災地の一刻も早い復旧と創造的復興に向けて、万全を期してまいります。また、今月は「阪神・淡路大震災」発生から30年の節目を迎えることになりますが、改めてこの震災により亡くなられた方々に対し、心から哀悼の意を表します。我が国は世界有数の災害発生国であり、近い将来に首都直下型地震あるいは南海トラフ地震が発生することも懸念されております。過去の災害の経験と教訓を継承し、災害からの復旧・復興に取り組むことはもとより、発災時における被災者の良好な生活環境の確保を含め、今後も想定される災害への備えに万全を期すため、防災・減災及び国土強靱化の取組を推進してまいります。国外に目を向けますと、世界経済の安定を維持し、持続的な成長を実現するには、国際協調の推進が重要です。ウクライナ支援や対露制裁、グローバル・サウスへの支援、サプライチェーンの強靱化等の取組を進めるとともに、国際金融機関の改革や途上国の債務問題、国際保健などの議論に貢献してまいります。今月には、米国でトランプ次期政権が発足します。これまで築いてきた日米の密接な関係を基礎に、引き続き経済面でも日米の協力関係を発展させていくことが重要です。私のカウンターパートになる次期財務長官を含め、しっかりと信頼関係を構築してまいります。安全保障環境が厳しさを増す中、わが国の防衛力の抜本的な強化を行うために安定的な財源を確保するという観点から、令和7年度税制改正において、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置を講ずることとしています。税関行政につきましては、入国者数と輸入申告件数が急増する中、不正薬物等の摘発件数が高水準で推移しています。本年は大阪・関西万博が開催され、更なる入国者数の増加等が見込まれるところ、テロ対策も含めた厳格な水際取締りと円滑な通関の両立に努めてまいります。また、軍事転用のおそれのある製品や技術の不正輸出等を防止すべく、輸出貨物の審査・調査の強化にも取り組んでまいります。(4)物価高の克服2  成長型経済への移行に向けた礎である、国民の安心・安全を確保する 3 ファイナンス 2025 Jan.

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