ファイナンス 2025年1月号 No.710
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0012連載経済トレンド 車両製造エネルギー製造走行時研究開発費設備投資額研究開発費(前年比伸率)設備投資額(前年比伸率)再生可能エネルギー火力原子力その他トヨタホンダ日産マツダ三菱(※)FCV:燃料電池車コラム 経済トレンド 127今後の展望電動化によるマクロ経済への影響Mixed technology scenarioEV-only scenarioRadical scenario8060402020202025203020352040(万人)1002050年ライフサイクル全体でのCO2排出ゼロ2040年・グローバル全体でBEV/FCV比率100%2050年・カーボンニュートラル達成2050年・ライフサイクル全体でのカーボンニュートラルを実現(%)403020100▲10▲20※2022年時点フランスドイツイギリス日本中国アメリカ40%0(ドル/kWh)フランスドイツイギリス日本中国アメリカ41%0(ドル/L)80604020アメリカ日本中国(注)文中、意見に関る部分は全て筆者の私見である。2030年・EV・FCVの世界販売を350万台・新たに30車種のEVを投入2030年・電動車比率100%(BEV/FCV20%)2030年・電動車比率50%以上・EV15車種を含む、電動車23車種を投入2030年・全車種を電動車(BEV比率25%)2030年・全車種を電動車(兆円)6.05.04.03.02.01.00.02020.3期2021.3期2022.3期2023.3期2024.3期2025.3期(予)(出所) 自動車各社公表資料、欧州自動車部品工業会(CLEPA)、IEA「EV Outlook2024」65%68%60%31%22%25%(※) 試算前提は年間走行1.5万km、使用期間10年、EVは電池容量80kWh、PHVは10.5kWh(EV走行6割前提)(出所) IEA HP、Global Petrol Prices、環境省、IEA「EV Outlook2020」、日本自動車工業会アメリカ9.0%ヨーロッパ14.8%日本0.7%アメリカ15.8%ヨーロッパ23.9%(tCO2-eq)4030201002824.57107PHEV1513EV日本3.7%その他2.5%中国70.0%※2023年時点その他5.7%中国53.8%※2023年時点28342456ガソリン1837HVシナリオ前提Mixed technologyHV技術のシェアが大きく、主に再生可能な燃料の活用によりCO2ネットゼロを達成する。BEVが2030年以降市場を支配し、2035年に市場シェアの90%を占める。EV-onlyRadical scenarioBEVが2025年以降市場を支配し、2030年に市場シェアの90%を占める。0.10.20.30.40.51.5LiB生産容量シェアEV販売・登録シェア車両製造走行廃棄燃料輸送燃料供給ファイナンス 2025 Jan. 70部品製造素材燃料採掘燃料精製欧州・日系自動車メーカー各社は、電動車比率やCNの達成時期など、具体的な数値目標を掲げている(図表8)。・電動化に向けた先行投資は活況を呈しており、主要各社の研究開発費及び設備投資額は、新型コロナウイルス禍や半導体の供給制約といった影響を受けたものの回復し、足もとではその増勢が一層強まっている(図表9)。・一方、電動化の進展により将来的な雇用者数が減少する可能性が指摘されている。欧州自動車部品工業会は、2035年迄に新車の殆どがEVに移行した場合、欧州における雇用者数に数十万人単位の影響が生じると試算している(図表10)。・自動車製造における上流領域の重要性も高まっている。リチウムイオン電池(LiB)の最大生産国である中国が、EVの販売・登録台数においても過半のシェアを占めるなど、中国への依存度が高いサプライチェーンとなりつつある(図表11)。・各国における電源構成をみると、再生可能エネルギーの導入や火力発電の活用など、状況は大きく異なっている。環境に良いとされているEVではあるが、走行時に使用する電気が化石燃料由来の場合、実質的にはCO2排出を抑制出来ておらず、真に環境に良いとは言えるかは議論の余地がある(図表12)。・環境目標を達成するうえでは再生可能エネルギーの導入が重要ではあるが、再エネ比率の高い欧州では、電気料金も高くつく。EVの販売拡大という観点において、電気料金とガソリン価格の差を意識した取り組みも必要となるだろう(図表13,14)。・ライフサイクルアセスメントという考え方も重要となる。環境目標の達成に向けては、走行時のみならず、製造から廃棄、燃料供給といった経路におけるCO2排出量も精査したうえで、最適なパワートレイン(内燃機関、電動、ハイブリッド等)の選択がなされるべきである(図表15,16)。・環境影響、コスト負担、産業競争力など様々な視点から、社会的な受益の最大化が実現されることに期待したい。(図表11)各国におけるLiB・EVシェア(図表15)自動車におけるライフサイクルアセスメント(図表16)ライフサイクルアセスメントベースでのCO2排出量(※)(図表10)電動化による雇用者数の予測(図表13)家庭用電気料金の各国比較(図表14)ガソリン価格の各国比較(図表8)日系自動車メーカーの電動化目標(図表9)日系自動車メーカーの研究開発費・設備投資額(図表12)各国における電源構成(%)100

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