ファイナンス 2025年1月号 No.710
65/116

SPOT ファイナンス 2025 Jan. 60国際機関であるポジションが募集されると、世界中からCV(履歴書)が集まります。英語に加えてフランス語できます、西アフリカで井戸を作りました、そこでPhDも取っていましたみたいな人がジャンジャン集まるわけです。それが、世銀で国際的な仕事したいです、途上国の開発に興味あります、英語得意です、というレベルではなかなか受かりにくいということはお分かりいただけると思います。なので、国際機関に行きたいのであれば、自分にどういう付加価値、一本刀があるのかというのを考える必要があります。今付加価値がないならないでいいので、3年から5年くらい時間をかけるとどれくらい力がつくかなというのを考えて、どういうスキルアップをして行けばいいのかを考えて、時間をかけてキャリアを作っていく。そういう考えが、もっとみんなにあってもいいんじゃないかなと思います。こういうことを申し上げると「大変そうだな」と思って引いてしまう方がいらっしゃるかもしれませんが、むしろ私は若い方々にはチャンスがあると思います。職業柄国際機関に行きたいという相談を受けることも多いのですが、そういうキャリア相談を通じて思うのは、世界を目指せる若い方は相当いらっしゃると思います。応援していかねば、と使命感を感じますね*5。服部:英語力についてもう少し教えてもらえますか。津田:はい。日本語で話す時も、みなさんが仕事をしているときに話す日本語と、お家に帰ってから家族と話す日本語は違うじゃないですか。英語についても同じことが言えて、仕事で使う英語だけでなく、友人との会話、生活面、アカデミックな英語、総合的に触れて、トータルな英語力を伸ばす必要があると思います。それでいうと、普通に日本で暮らしていると僕らはexposure(英語を触れる量)が足りないように感じます。私も英語で書かれた小説とかエッセーのようなものを読むのですが、今でも知らない単語に数多く出会います。英語がわかるといいなと思うことは、日本語だけでなく英語の情報もコンスタントに入手できることです。例えば、開発の世界にはトレンドのようなものもあるので、神田(2021)に書かれていることも、古くなってしまっていると感じる部分もあります。まあポストコロナ、と銘打っていますので、コロナ明けから少し経った今だと、当然世界経済の現況や課題も変わってきますよね。そういうときに、やはり重要なのは、「活きのいい」情報に触れることなのですが、日本語の情報だけを見ているのでは、取れる情報はどうしても限られる。英語を学ぶ意義は、英語を上手に話せるということだけではなく、英語の情報をインターネットとかから常に入手できることもあると思います。インターネットに書かれている情報のうち日本語で書かれている情報って全体の5%くらいですかね。英語の情報が50%ぐらいと言われています。普段から英語で情報収集する癖をつけると、持っている情報に加速度的に差が出て、時間が経つとだいぶ差がついてきます。学生の皆さん今は差はあんまりないと思いますが、5年後10年後と時間が経ってくると、この差が非常に大きく開いてきます。国際的な仕事に興味をお持ちなのであれば、決して楽ではないですが、そういう世界に飛び込んでほしいし、財務省でお会いすることがあれば、色々お手伝い、アドバイスもできると思います。服部:元々英語は得意だったんですよね。津田:そうですね、高校ぐらいから英語は得意科目になりました。中学の時はそうでもなかったですが。服部:英語は小さい時から好きでしたか。津田:小さい時に母親が子供向けの小さな英会話学校を自宅でやっていたので、英語は身近にある環境ではありましたね。学生:私は英語は全然しゃべれなくて苦手です。それで最近オンライン英会話を始めました。服部:このタイミングで気が付いたらいいですよね。津田:そうですね、早く気づけて良かったと思います。英語をしゃべれないと、落ち込む人が多いのですが、落ち込む必要なんて全くないんです。しゃべれないという現状を確認した日に、まず自己採点してみてください。とっても低いと思います。それでいいんです。どうしてかわかりますか。だって後は上がるしかないですから。私もイギリスに留学した際に、英語の会話に入っていけず、「自分は話せない」と勝手に落津田尊弘課長に聞く、国際金融と経済協力*5) 財務省のホームページにある「MDBsパンフレット」でも、実際に働いている職員からのメッセージを読むことができます。https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/publication/mdbs_pamphlet.htm

元のページ  ../index.html#65

このブックを見る