財務大臣加藤 勝信あけましておめでとうございます。令和7年の年頭に当たり、謹んで新春のお慶びを申し上げます。昨年10月に財務大臣兼金融担当大臣を拝命してから3か月が経過しました。この間、総合経済対策の策定、補正予算及び当初予算の編成、G20財務大臣・中央銀行総裁会議等の国際会議への出席など、それぞれの場面において全力で取り組んでまいりました。本年も国民の皆様の声に真摯に向き合いながら、直面する課題に対して答えを出し、それを実行に結び付けてまいりたいと思います。日本経済に目を向けてみますと、回復に向けての明るい兆しが見られており、これを確かなものとし、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」を実現していく必要があります。本年は巳年であり、脱皮するヘビのように、わが国が成長型経済に移行するのにふさわしい年にしていきたいと思います。力強い新年のスタートを切るためにも、以下、経済財政運営等についての3つの抱負と主な取組について申し上げます。1つ目は、デフレからの脱却を確実なものとし、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現することです。日本経済は、バブル崩壊以降長らくデフレに悩まされ続け、賃金や設備投資といったコストを抑制するコストカット型の経済に陥ってきました。平成24年の政権復帰以降、経済再生の取組はもとより、国民の皆様や各企業といった様々な各層での努力の結果として、日本経済は改善が進み、昨年は、春闘における33年ぶりの5%を超える高水準の賃上げ率、過去最大規模の100兆円超えの設備投資、600兆円超の名目GDPを実現するなど、前向きな動きが見られております。この動きを確かなものとし、高い付加価値を創出する成長型経済に移行していくことが重要です。こうした中、昨年11月22日に「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を策定し、その裏付けとなる令和6年度補正予算も昨年12月17日に成立しました。総合経済対策の最重要課題は、全ての世代の現在及び将来にわたる賃金・所得を増やすため、日本経済・地方経済の成長力を強化することです。まずは、賃金上昇が物価上昇を上回る経済を作っていくこと、また、更に生産性や付加価値を高め、安定的に賃金・所得が増えていくメカニズムを構築することが必要です。そこで、主な取組として、(1)賃上げ環境の整備と投資の促進、(2)税制改正、(3)「資産運用立国」、(4)物価高の克服の順に御説明します。1 賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現する 1 ファイナンス 2025 Jan.令和7年1月財務大臣年頭所感
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