SPOTIFCとMIGAという別機関を加えて、世界銀行グルーProfessional)というのは世銀グループ全体で確か毎Banks(RDBs)」というのですが、その特徴は、それBank, IDB)であればスペイン語は重要であるし、アなら英語とフランス語が行き交います。日本のシェアを語る際の「物差し」として、これらのRDBsの加盟国の分類である、域外国・域内国という概念を使うときがあります。域内国というのはその名の通り、当該RDBsが根差している地域に所属する国々、域外国とはそれ以外、という意味です。例えば、欧州復興開発銀行(European Bank for Reconstruction and Development, EBRD)という、ソ連邦崩壊後に東欧諸国の市場開放・民営化等を支援することを契機に設立された民間向け支援のMDBがあるのですが、この機関においては日本は域外国の中で同率2位です(アメリカが1位です)。AfDBでも日本は域外国でアメリカに次いで2位、IDBでは日本は域外国1位(アメリカは「域内」扱い)です。少し土地勘をつかんでいただけますでしょうか。服部:世銀があれば、ADBはいらないのではないかという議論にはならないのでしょうか。津田:ならないですね。特にADBは地域のホームドクター(町医者)という言い方を昔からしているのですが、いわば世銀が総合病院で、ホームドクターであるADBがちゃんと地域の国々に寄り添って、各国の問題について一番相談しやすい相手となっていると言えると思います。協調融資(co-financing)といって、複数の機関が同じプロジェクトに融資する例も多いです。服部:非金融手法の説明がありましたが、国連も似た役割を果たしているというイメージです。どういう役割の違いがあるのでしょうか。津田:世界銀行と国連の関係は多分そんなに広く知られていないと思います。簡単にいうと、世界銀行含めMDBsはその名の通り開発を担当する機関です。一方、国連機関は、安全保障、人権保護、人道支援などを担当します。MDBsは正面から人道支援をやる機関ではありません。例えば、ハリケーンがハイチを襲ったとします。すぐに食料を届ける、緊急用の医療テントを立てる、というのは、国連の仕事です。しかし、同時に少しずつ復興が進んでいく中で、道路や橋を作り直そうとかとなった時に、世界銀行等のMDBsの出番がでてくることになります。これらはもちろん一国の社会経済の発展の上では密接に連携しており、特に紛争地域で「平和構築」が重要な局面では、その結びつきのことを、プと呼んでいます。服部:これは全部、ワシントンDCにあるという理解でよいでしょうか。津田:本部についてはそうですね。建物は違いますが、同じような区画、歩いていけるような距離にあります。また、どの機関も、現場というか、途上国に職員を多く配置しているのが特色です。服部:この4つの機関の採用は、別々に行われているのでしょうか。津田:それは、Yes and Noでして、世銀グループは何年か前に新卒採用を一本化していますので、一括採用にはなっています。ただ、キャリア形成にあたり、どの機関を主にするか、みたいなのはある程度あるというのは聞いたことがあります。新卒(YP:Young 年50人位採用しているかな。あとは、中途採用は基本的に全部部門別採用となっており、それぞれの局が人事権、採用権、予算を持っているので、空きがでればjob postingを出して、募集するという世界ですね。ちなみに、新卒は世界190か国から応募があって採用人数が50人なので、狭き門です。世銀に入りたいのであれば、中途で入るほうが入りやすいかもしれませんね。実務経験を積んで、修士号や博士号を取って、中途で入る方は日本人でも非常に多いです。なお、日本は(先ほど申し上げた)IBRDの第2の出資国です。出資等によるプレゼンスをてこに、世銀の方針に積極的に参画することによって、日本のプレゼンスをあげることができています。服部:ADBは、アジアということもあり、出資は多いのでしょうか。津田:ADBの日本の出資シェアは、アメリカと同率で1位です。服部:他のMDBsに対する日本政府による出資はどうでしょうか。津田:世銀以外のMDBsを「Regional Development ぞれの地域に根差している点ですね。言語という意味でも、米州開発銀行(Inter-American Development フリカ開発銀行(African Development Bank, AfDB) 51 ファイナンス 2025 Jan.
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