SPOT ファイナンス 2025 Jan. 48国際局開発機関課 津田 尊弘/東京大学 服部 孝洋うち、「経済協力」を取り扱っている7章と合わせて読むことで、国際金融や経済協力の基礎知識が得られるように工夫しています。このテーマに関心がある読者は、植田・服部(2024)「国際金融」*2など、他の文献も読み進めていただければ幸いです。なお、本稿の前編に相当する「JICAおよびJBIC編」については2024年12月の「ファイナンス」*3をご参照ください。服部:次に、MDBs(Multilateral Development Banks)について話を進められればと思います。教科書的には、「国際開発金融機関(MDBs)は、途上国の開発を目的として、複数の国が出資して設立されている金融機関」などという形で説明されますが、教科書的な説明だとイメージがつきにくいと思います。津田課長が所属している部署は開発機関課という名前ですが、英語名は、「Multilateral Development Banks Division」という名称で、まさに、MDBsを担当するセクションですね。MDBsとは具体的には、これまで話にも出てきた世界銀行や、アジア開発銀行(Asian Development Bank, ADB)、欧州復興開発銀行(European Bank for Reconstruction and Development, EBRD)などがあります。津田:MDBsとは、途上国の開発援助を目的として、複数の国が出資を行って設立された国際機関です。はじめてMDBsという言葉に触れる方には、その特徴として3点お伝えするようにしています。1点目は、その名の通りMDBsはBank、すなわち銀行であるという点です。2点目は、MDBsは、民間の銀行と違って、特定の政策目標をもって、低金利・長期融資を行2024年7月、東京大学で筆者の服部が担当する科目において、津田尊弘課長に国際金融をテーマにご講演をいただきました。その中で、国際協力機構(JICA)、国際協力銀行(JBIC)、および世界銀行(世銀)など国際開発機関についてご説明をいただきましたが、この内容は学生にとって関心が高いものの、良い入門書がないと感じていました。そこで東京大学政策評価研究教育センター(CREPE)で実施しているインターンシップに参加している学生も交え、津田尊弘課長に、国際金融という観点で、JICA、JBIC、世銀などの国際機関の概要をお聞きしました。本稿は、神田眞人編著「図説 ポストコロナの世界経済と激動する国際金融」(以下、神田(2021))*1のMDBsの概要本インタビューの目的[プロフィール]津田尊弘 国際局開発機関課課長服部孝洋 東京大学公共政策大学院特任准教授2001年、財務省入省。国際通貨基金(IMF)金融資本市場局、財務省国際局、世界銀行日本理事代理等を経て現職。2008年、一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了後、野村證券に入社。2016年、財務省財務総合政策研究所を経て、2020年に東京大学に移籍し、現在に至る。経済学博士(一橋大学)を取得。*1) 神田眞人(2024)「図説 ポストコロナの世界経済と激動する国際金融」財経詳報社*2) 植田健一・服部孝洋(2024)「国際金融」日本評論社*3) https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202412/202412d.pdf津田尊弘課長に聞く、国際金融と経済協力―国際開発金融機関(MDBs)編―
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