ファイナンス 2025年1月号 No.710
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図2.17:カーボンバジェットと食料部門からの排出量□□□SPOT □図2.16: 表明済み施策に基づく炭酸ガスの排出予測、2050年ネッ図図□□□□□□□□□□□□表表明明済済みみ施施策策にに基基づづくく炭炭酸酸ガガススのの排排出出予予測測、、□□□□□□□□年年ネネッットトゼゼロロへへのの経経路路((全全世世界界、、□□□□□□□□□□□□))□□2.7を参照)。プラネタリーバウンダリーの他の領域に(2024年11月)はよいとしても、あまりに多くのことKlein, 2020)。ニタ・ファラファニ(Nita Farahany、ついても、国際的枠組みのある領域(生物多様性、砂漠化等)もあるが、合意に手間取っているのは同様である。新技術の開発と利用について、AIを核兵器の使用に関与させないとの米中首脳間の合意があったことが半無政府状態にある。軍事においては兵士が無事に帰還することにプライオリティが置かれる。民生と異なる価値観のもとで技術開発が進むことを、大戦中の核開発の経験は示唆する。AIの他にも、神経工学や意識を巡る研究にもリスクがあらわれている。サラ・ゲアリング(Sara Goering,、ワシントン大学)は、経験してもいないことを経験したかのように神経的に操作してみせる、動物実験の含意を考えている(Goering & デューク大学)は、政治信条を把握するために脳に尋問することが可能となった時代の倫理を考察している(Farahany, 2023)。技術が人類の長期的な存続を脅かす時代に、ガバナンスが分断していくのは、実に厄介な問題である。地理的ガバナンスの欠如□□×□異時点間ガバナンスの欠如□(出典)Hale et al.,(2023)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□2200115511661177トゼロへの経路(全世界、Gt CO2)化石燃料使用の削減については、電化という大きな方向性が示されているが、まだ、充分に手のつかない問題もある。世界全体の温暖化ガスの排出量のうち、20〜30%は食に関連する部門から排出されている。世界的な生活水準の向上に伴い、良質な動物性たんぱく質への需要は高まる一方であるが、畜産は温暖化ガスを大量に排出する。ガリーナ・ヘイル(Galina Hale、UCサンタクルーズ)らは、食料システムを変えることなくしてパリ協定の目標を達成することはできないとする(Hale et al., 2023)。ヘイルらの試算によると、食品廃棄の軽減、収量向上、健康な食生活の普及のみでは、食料部門に許容される枠内に排出量を抑えることができないという。2050年までに、植物由来・培養由来による代替食品によって動物性食品をほぼ100%置き換えるところまでやってようやく、気候目標に整合的な水準に近づくことができるとする。図2.17によると、横線が1.5度目標と整合的なカーボンバジェットである。自然体(BAU)と比べても、食品廃棄の軽減(W)、収量向上(Y)、健康な食生活(HD)ではほとんど温暖化ガスの排出を減らすことができないことが読み取れる。ヘイルによると、畜産は一万年前の古い非効率的な技術であり、牛肉では25カロリー投下して、1カロリーしかリターンがない。技術革新の加速が必要であり、代替エネルギーに提供されたものと類似する政策介入が必要118811992200221122222233224422552266227722882299330033113322333333443355(出典)IEA(2024)に基づき、筆者作成(出典)□□□□□□□□□□に基づき、筆者作成□ 41 ファイナンス 2025 Jan.表表明明済済みみ施施策策22005500年年ネネッットトゼゼロロコラム2.7:食の脱炭素

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