ファイナンス 2025年1月号 No.710
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ファイナンス 2025 Jan. 14域を対象にしていく必要があると考えます。例えば、とあるコンサルティング会社のレポートによると、2050年には、中国、インド、東南アジア、南米といった地域の経済的な発展が見込まれていますので、外貨準備もこれから大きく膨らむ可能性もあります。こうした地域の中銀を含むリアルマネーなどについて発掘の余地があると考えています。田中 財務省としては、オンラインも活用しつつ、引き続き、現地に出張する対面のIRも重視していきたいと思っていますが、JGB・GXプロモーターの皆様が考える対面の意義はどこにあると思いますか。SMBC日興証券・後藤 オンラインを好まれる投資家もいますが、一方で自分のところまで来てくれることに感謝し、1対1だからこそ、普段は聞けないことが聞けるという期待をしている投資家もいます。そこからつながりが生まれて、定期的なIRにもつながっていくと思いますので、できるだけ足を運んでもらい、投資家と積極的に意見交換をしてもらえれば、国債管理政策にも反映できるのではないでしょうか。大和証券・中山 やはり当局として、直接地方へ出向いて投資家に説明するのは、効果としては間違いなく1番大きいと思います。当然、予算面も考慮する必要がありますので、同じ業態の方々を集めて面談する形にすれば、横同士のつながりもあるので、出向いていただきやすい環境が作れるのではないかと思います。お互い課題認識を持っていることについてディスカッションもできますし、質疑も盛り上がるのではないでしょうか。みずほ証券・渡邊  直近の中東IRでは最初にクウェートに行きましたが、トランジットを含め、約16時間の移動時間がかかりました。しかし、投資家とフェイス・トゥ・フェイスでお話すると、オンラインでのミーティングでは得られない親しみを持っていただき、多くの質問や問い合わせをいただきました。また、経営層が出てくることもあり、現場の人とは違う話が出てきて、非常に貴重な機会になると思います。官民連携による国債保有者層の多様化に向けた取組JGB・GXプロモーターと日本国債IR田中 冒頭で皆様がJGB・GXプロモーターに立候補した理由をお聞きしました。JGB・GXプロモーターになってから数ヶ月経過しましたが、その中で実際に活動されて感じたことがあれば教えてください。SMBC日興証券・後藤 日本国債のIRを通じて当社の担当者と投資家がより深く話をできるようになったことです。当社は、2024年2月のCT国債の初回発行前後の財務局のセミナー時には、幅広い投資家にお声がけし、当社が社会的意義のある活動をしていることを認識してもらいました。その結果、当社の活動の裾野が広がったのみならず、担当者も自信を持って幅広い投資家に提案できるようになりました。東海東京証券・馬場 これまではセミナーを実施してもリアクションの薄い投資家が少なくありませんでした。しかし、先日、財務省にも登壇してもらった国内投資家向けセミナーでは、その後の入札に参加した投資家もいると聞いています。大和証券・中山 JGB・GXプロモーターの取組は、「業界全体が一致団結して日本国債を盛り上げていく」ことと捉えることができるので、日本国債の魅力がより投資家に伝わりやすくなると思います。矢野 ありがとうございました。今後も新たな取組を含め、積極的にチャレンジしていきたいと思いますので、引き続き、どうぞよろしくお願い致します。特集

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