ファイナンス 2025年1月号 No.710
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0特集 2010年3月2011年3月2012年3月出所:日本銀行「資金循環統計」(令和6年12月18日公表)(注1)「国債」は「財投債」を含む。(注2)「銀行等」には「ゆうちょ銀行」、「証券投資信託」及び「証券会社」を含む。(注3)「生損保等」は「かんぽ生命」を含む。2013年3月2014年3月2015年3月2016年3月2017年3月2018年3月2019年3月2020年3月2021年3月2022年3月2023年3月2024年3月銀行等生損保等日本銀行公的年金+年金基金海外家計関係部局に共有し、国債管理政策等にも反映して活用しているほか、各国の債務管理当局や国際機関、海外中央銀行との関係強化にも努めている。国債保有者の状況について見ると、量的・質的金融緩和以前は、主に銀行が最大の国債保有者であったが、足元は、日本銀行が半分程度保有している(図表1)。2024年3月に日本銀行が金融政策の枠組みを見直し、7月には国債買入れの減額計画が決定されたように、国債市場を取り巻く環境が大きく変化しているところ、発行当局としては、今後、日本銀行以外の様々な投資家層に更に国債を保有してもらうことが一層重要となっている。こうした中、2024年5月9日に、「国の債務管理に関する研究会」 *1を開催し、今後の国債の安定的な発行をどのように図っていくかについて、有識者の方々より中長期的な視点から議論をいただき、6月21日に「今後の国債の安定的な発行・消化に向けた取組について(議論の整理)」をとりまとめていただいた。官民連携による国債保有者層の多様化に向けた取組JGB・GXプロモーターと日本国債IR我が国の国債市場では、銀行や生命保険会社・年金、海外投資家等と年限別に主要な投資家が分かれているため、これらの投資家別に投資行動や国債保有に係る課題・制約要因に応じた取組を検討していくことが求められる。例えば、量的・質的金融緩和以前に国債の最大保有者であった銀行については、今後の安定消化にあたって重要な役割を果たすと考えられる一方、2013年以降段階的に実施されているバーゼルⅢに見られるような資本等に関する規制やリスク管理の枠組みによる制約が存在する。そのため、発行年限の短期化や変動利付国債の発行等、市中に供給する金利リスク量の縮減を図る対応も必要となっていくことが考えられるが、これらの取組は、国が借換リスク・金利リスクを負うことを意味することから、極力新たな国債保有主体の開拓を図ることが重要ではないかとの意見もあったところである。また、海外投資家に対しては、今後の海外IRは、従来の取組の中心となっている個別訪問に限らずオンラインセミナーも活用することや、官民連携して実施すること等、効率的・効果的にIRを行っていくことが提示された。*1) 中長期的な観点から、今後の国の債務管理政策について、高い見識を有する方々から御意見や御助言をいただくために開催しており、技術的な側面を含め意見交換を行うこととしている。6050403020102.我が国の国債市場を取り巻く環境の変化3. 「議論の整理」とその内容に対する当局の検討(%)2024年3月19日日本銀行「金融政策の枠組みの見直し」を決定(マイナス金利解除・長短金利操作撤廃)2013年4月4日日本銀行「量的・質的金融緩和」の導入2016年9月21日日本銀行「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入2024年7月31日日本銀行無担保コールレート翌日物を0.25%に引上げ長期国債買入れの減額計画の決定15.814.612.0図表1 国債及び国庫短期証券(T-Bill)の保有者別残高の推移41.320.013.110.78.42.337.721.820.210.11.17.546.77.61.2ファイナンス 2025 Jan. 6

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