250%を超える水準となる見込みであり、こうした多我が国の債務残高対GDP比は、2024年末時点で額の債務残高を抱える我が国にとって、国債の安定消化が重要な課題となっている。このような中、財務省では、国債保有者層の多様化のため、銀行や生命保険会社等の国内機関投資家や個人投資家への国債保有促進に向けた取組のみならず、海外投資家との関係強化の取組である海外IRを実施している。海外IRについては、2005年より継続的な取組を開始し、2014年には、理財局国債企画課内に国債政策情報室を設置し、調査・分析部門と連携しながら、より一層効果的かつ効率的なIR活動を行えるよう、情報発信体制を強化してきた。海外IRの目的として、(1)保有者層の多様化を通じて、国債市場の安定を図ること、(2)投資家のニーズに即した情報を正確かつタイムリーに提供することで、長期安定的な国債保有を促すこと、(3)海外投資家の動向及びニーズの的確な把握を図り、国債管理政策へのフィードバックを行うことが挙げられる。これらの目的を実現するため、海外IRにおいては、長期安定保有が見込める海外中央銀行(外貨準備)、年金、生命保険会社等のリアルマネーの機関投資家を重視するとともに、国債管理政策のみならず、日本の経済政策や財政健全化の取組に関しても情報発信を強化してきた。また、海外IRを通じて海外投資家から様々な質問や意見が寄せられるところ、そうした声を20世紀に入って間もない頃、後に内閣総理大臣や大蔵大臣等の要職を務める高橋是清(当時、日本銀行副総裁)が、日露戦争の戦費調達のため、海外の資本家や投資家等と密に関係を構築し、先例がない規模の外債発行を成功に導いたのはご存じだろうか。そこから100年余り、我が国の一連のコーポレート・ガバナンス改革の取組により、発行体による株主や機関投資家等との対話の重要性が高まるにつれて、投資家向け広報を意味するIR(Investor Relations)という言葉が定着しつつあるが、是清の逸話は、現在、財務省でも実施している日本国債IRの先駆けであったと言えよう。足元、日本銀行による金融政策の枠組みの見直し等を受け、日本銀行に代わる国内外の多様な投資家に日本国債の保有を促す必要があることから、IRの重要性が一層高まっている。このような中、財務省は、日本国債の国内外のIRを強化するため、証券会社12社を「JGB・GXプロモーター」に決定し、2024年7月31日に公表した。本稿では、JGB・GXプロモーターと連携した、国内外投資家向けの国債IRにおける財務省の取組を紹介する。1.国債IRの概要 5 ファイナンス 2025 Jan.国債保有者層のの多様化多様化にに向向けたけた取組取組特集官民連携によるによる国債保有者層官民連携日本国債IRJGB・GXプロモーターとと日本国債IRJGB・GXプロモーター
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