ファイナンス 2024年12月号 No.709
75/110

未経験でも活躍できる給与が高い年齢に関係なく活躍できる交通費が全額支給される自宅から近いシフトの融通がきく0連載経済トレンド スポットワークにメリットを感じるどちらとも言えないスポットワークにデメリットを感じる(n=4,595)スポットワーク以外38.0%41.5%42.4%51.6%業務のモジュール化推進、当日中の順応と作業実施が可能な水準へアドバイザー(図表9)アルバイトの必須条件(上位)(%)605040302010(図表13)スポットワークが加わった働き方に対して企業が求められる対応(n=565)Step1:業務の落とし込み203040(図表14)スポットワーク協会会員法人名(図表10)スポットワーク人材を採用する際の メリット・デメリット(図表11)スポットワーク登録者の属性(図表15)個人の働き方・仕事の選択におけるニーズの多様化将来マクロトレンド生産年齢人口の減少副業・兼業の解禁終身雇用制度の見直し仕事観の多様化(図表8)スポットワークとスポットワーク以外のアルバイトの利便性比較(図表12)スポットワーカー採用に対する懸念労働法の適用に関する対応が複雑採用方法がわからない人材の管理が複雑スキルが不安0(%)10(注)文中、意見に関る部分は全て筆者の私見である。雇用手続き(就労にあたっての労務手続きのしやすさ)マッチング(希望する人材を実際に採用できるか)単発性(働く時間、働く期間の短さ)融通性(シフト調整のつきやすさ)その他学生スポットワークのみ専業主婦・主夫パート・アルバイト契約社員・派遣社員正社員(%)0(n=134)0(%)20406080100(n=618)102030405060スポットワークにおける個人のユースケース①複数の収入源確保②ワークライフバラ ンスの実現③キャリア志向と業 務内容の試験的な 親和性確認④希望する仕事に就 くためのスキル習 得・向上ファイナンス 2024 Dec. 71多様な働き方・キャリアパスを受け入れる社内制度の構築スポットワークを通じたスキル習得・向上機会の提供Wakrak株式会社スキマワークス株式会社株式会社メルカリ株式会社みずほ銀行東京海上日動火災保険株式会社株式会社NTTドコモ正会員Bスポットワーク質問勤務終了後すぐにお金がもらえて便利だと思う95.9%履歴書・面接がなく、勤務が決定してラクだと思う97.4%シフト提出がなく、勤務が決定してラクだと思う96.8%自分の好きな時間に働けると思う94.4%(出所)(株)タイミー「“スキマバイト”と“スキマバイト以外のアルバイト”による利便性比較アンケート調査」「スポットワーカーに関するアンケート」、マイナビキャリアリサーチLab「アルバイト就業者調査(2024)」、「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2024年5-6月)」会員区分株式会社ツナググループ・ホールディングスLINEヤフー株式会社シェアフル株式会社HRソリューションズ株式会社株式会社タイミー正会員A(注)正会員A:スポットワーク募集情報を提供し、協会運営を主導する立場にある事業者、正会員B:スポットワーク募集情報を提供する事業者(出所)マイナビキャリアリサーチLab「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2022年9-10月)」、一般社団法人スポットワーク協会HP、KPMGコンサルティング(株)「スポットワークが促す将来の働き方変化と企業の人材獲得におけるポイント」(n=9,000)Step2:受入体制整備Step3:求人魅力化・本頁ではスポットワーク市場拡大の背景にあるユーザーの声に注目し、就業者・雇用者のニーズ、通常のアルバイトと比較したスポットワークのメリットについて考察していく。・スポットワークを活用している就業者の声を見ると、スポットワークの特徴でもある「仕事決定までのハードルが低い点」や「隙間時間に働くことができる点」において、通常のアルバイトと比較して魅力を感じる者が多い(図表8)。また、アルバイト探しの必須条件に関する調査では、「シフトの融通がきく」がトップにあげられており、スポットワークがこうしたニーズを満たした形態であることが登録者数増加の背景にあると推測される(図表9)。・また、スポットワーク人材の活用を進める企業も「融通性」や「単発性」にメリットを感じており、人手不足が深刻化する中での一時的な欠員補充など、スポットワークならではの特徴が企業のニーズにマッチしている(図表10)。副業を認める企業の増加といった働き方改革の進展もあり、スポットワーク登録者の属性をみても「正社員」の割合が過半を占めている(図表11)。・一方で、課題も表面化してきた。スポットワーカーの活用にあたっては、企業が労務管理の煩雑さや人材のスキル等に対する不安を抱えており(図表12)、政府による労働分野のルール見直しのほか、企業による業務の分割化や就業規則の変更など新たな働き方に対する受入体制整備が求められる(図表13)。・また、労働条件の相違などトラブルに対する労働者保護の強化や、犯罪実行者を募る“闇バイト”への悪用防止といった労働市場の質を確保することも課題であり、スポットワークのプラットフォーマー(仲介業者)の在り方が重要である。「スポットワークの健全な発展」を掲げる一般社団法人「スポットワーク協会」により(図表14)、資格認定・教育等による品質向上・担保が進められているが、健全な発展のためには、政府による認証制度の導入や規制強化などが必要となる可能性も考えられる。・今後の展望としては、社会環境の変化を背景にさらなる利用者の拡大や活用例の多様化が進むだろう(図表15)。活用の幅が広がっていくことで、就業者・雇用者のミスマッチが減少することや労働市場の流動化が期待される。様々な期待と課題を抱える市場であるが、スキマ時間を活用した新たな働き方の動向に今後も注目していきたい。コラム 経済トレンド 126スポットワーク市場拡大の背景スポットワーク市場の課題と展望

元のページ  ../index.html#75

このブックを見る