ファイナンス 2024年12月号 No.709
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0345日本産酒類の海外需要を 開拓する国税庁の取組特集 ◉ 令和5年の輸出金額は 令和4年に次ぐ水準に日本産酒類の輸出動向日本産酒類の国際的な評価の 高まり等を背景に年々増加傾向に日本産酒類の輸出額の推移令和6年度酒類業関係予算(百万円)140,000130,000120,000110,000100,00090,00080,00070,00060,00050,00040,00030,00020,00010,000272829平成26ウイスキージン・ウォッカ30令和元2清酒焼酎リキュールワインビールその他(年)54,5031,53742,9961,46639,0291,57129,3511,601出典:財務省貿易統計139,1942,172114,6581,74671,0301,20166,0831,56061,8271,53047,48940,17824,14122,23223,41256,05246,14427,11541,06350,06018,67914,01115,58111,5075,85010,37810,84413,63914,97719,451国税庁は、酒類業の所管官庁として様々な取組を行っている。酒類業の活性化に関する取組もその一つだ。日本産酒類の国内市場は少子高齢化や人口減少、消費者の低価格志向、ライフスタイルの変化、嗜好の多様化等により、全体として縮小傾向にある。一方で日本産酒類の輸出は、清酒(日本酒)やウイスキー等の日本産酒類の国際的な評価の高まり等を背景に、年々増加傾向にある。令和5年の日本産酒類の輸出金額を見ると、1,344億円(対前年比3.5%減)で、過去最高となった令和4年に次ぐ水準となった。輸出金額を品目別に見ると、ウイスキーが最も多く501億円(対前年比10.7%減)、次いで清酒が411億円(対前年比13.5%減)となった。輸出金額が上位の国・地域を見ると、中華人民共和国が322億円(対前年比18.5%減)、次いでアメリカ合衆国が237億円(対前年比11.4%減)、大韓民国が143億円(対前年比156.0%増)となった。世界的な物価高や一部の国・地域における消費減退、米国における長引く在庫調整等の影響により、多くの品目で輸出金額が減少した。こうした中で国税庁は、酒類事業者の支援や酒類業の振興を行っている。令和6年度予算では、酒類事業者向けの補助金として6.0億円を活用し、インバウンドによる海外需要の開拓等を支援した。また、輸出促進等による酒類振興予算として8.6億円を活用し、海外への販路拡大支援やユネスコ無形文化遺産登録に向けた機運醸成等のための各種PRなどを行った。次ページ以降では、令和5年度から6年度の主な取組内容を紹介する。輸出促進等による酒類業振興 8.6億円(R5補正:3.5億円)134,3581,641酒類事業者向け補助金 6.0億円(R5補正:7.0億円)(1)ブランディングやインバウンドによる海外需要の開拓(2)商品の差別化や販売手法の多様化による国内外の新市(1)酒類輸出コーディネーターによる海外バイヤーの発掘(2)海外の食酒イベントや海外小売店等でのPRイベントの(3)地理的表示(GI)酒類のブランド価値向上のため、国(4)ユネスコ無形文化遺産登録に向けた機運醸成等のため(5)海外の酒類教育機関の専門家やバイヤーを招聘し日本(6)中小企業診断士等による活性化・経営革新研修(事業等、日本産酒類の海外展開に向けた取組を支援場開拓等の取組を支援や商談会(オンライン開催や大規模展示会を含む)の実施実施外の先進事例に触れ、意見交換を実施できるシンポジウム等を開催の各種PR産酒類の特徴や魅力を発信承継セミナーを含む)ファイナンス 2024 Dec. 3

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