ファイナンス 2024年12月号 No.709
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SPOT 源氏物語とその世界(中)(主な参考文献)「源氏物語 愛蔵本」巻九〜巻十六、巻二十四、巻二十六 谷崎潤一郎譯 山田孝雄校閲、中央公論社、1939年「日本の歴史5 王朝の貴族」土田直鎮、中央公論新書、1973年「新潮日本古典集成(第五四回)蜻蛉日記」、犬養廉校注、株式会社新潮社、1982年「新潮日本古典集成(第八二回)大鏡」、石川徹校注、株式会社新潮社、1989年14.大鏡(おおかがみ)- 歴史と物語:国立公文書館「源氏物語」 巻四〜巻七 瀬戸内寂聴訳、講談社、1997年「新訳源氏物語」 中巻、下巻、与謝野晶子訳、大鐙閣、1925年庭園の四季の彩り(夏)|東京のホテルならホテル椿山荘東京。【公式サイト】(hotel-chinzanso-tokyo.jp)「紫式部日記・紫式部集」、山本利達校注、株式会社新潮社、2016年「現代語訳 日本の古典5 源氏物語」、円地文子、株式会社学習研究社、1979年「百代の過客」、ドナルド・キーン、朝日新聞社、1984年「講座 食の文化 第二巻 日本の食事文化」、石毛直道監修、財団法人味の素食の文化センター、1999年『源氏物語の舞台装置 平安朝文学と後宮』、栗本賀世子、吉川弘文館、2024年13.栄花物語 - 歴史と物語:国立公文書藤原行成「権記」上、中、下、全現代語訳 倉本一宏、株式会社講談社、2011年あの日の公文書|国立公文書館ニュース Vol.13 大久保利通|近代日本人の肖像|国立国会図書館日本古典全集 御堂関白記 上 - 国立国会図書館デジタルコレクション「藤原道長『御堂関白記』を読む」、倉本一宏、株式会社講談社、2013年「現代語訳 小右記」3,4,9,12,15、倉本一宏編、吉川弘文館、2017年「栄花物語全□釈」(二)、(五)、(六)、松村博司、株式会社角川書店、1976年源氏物語絵巻|公益財団法人 五島美術館(gotoh-museum.or.jp)大鏡 - 国立国会図書館デジタルコレクション「天皇の歴史3 天皇と摂政関白」、佐々木恵介、株式会社講談社、2018年宮殿調度図解:附・車輿図解 下 増補 - 国立国会図書館デジタルコレクション(ndl.go.jp)官職要解 修訂(7版)- 国立国会図書館デジタルコレクション(ndl.go.jp)気がして、なぜあんな女を寵愛したのかと後悔するのだとおっしゃられた」という。紫の上を失った源氏の君は、「紫の上を失われた悲しみに暮れ惑うばかり」で、「夫婦離れず空を渡る雁の翼も、自分にあれば紫の上のいられる大空のかなたに飛んで行かれるのにと、羨ましく見つめ」(瀬戸内寂聴訳)て「あの雁が飛ぶやうに大空を飛行するといふ幻術士よ、夢にさへも現れないあの人の魂を探しておくれ」(谷崎潤一郎訳)と詠む。思い出の紫の上の手紙を処分させ、出家の準備。「正月初めにする行事のことを、例年よりも格別なものにしようと、お命じになります」(瀬戸内寂聴訳)。出家と言えば、「王朝の貴族」によると、栄華を極めた後、やがて「病気に悩まされるようになった道長は、1019年3月、重い胸病の発作の後、剃髪出家を決意し、七月には自分の邸のすぐ東に「壮麗な法成寺を建立する決意を固め…有能な受領を選んで一人に一間…ずつの造営を分担させた」、「栄華物語には、道長は寝食を忘れて造営に熱中」、「法成寺の寺域について、…方四町(約四百四十メートル四方)」というから、源氏の君の六条の院の4倍サイズ。1022年「後一条天皇行幸のもとに落慶供養が挙行され…金堂供養はまさに天下の盛儀で、天皇・皇太子・三后をはじめ、公卿…老若男女群衆する中、広い境内が人と車で埋め尽くされた」という。源氏物語のモデルの一人と言われる道長の死について。「ひたすら、臨終の念仏を思いお続けなさる。阿弥陀如来の…相好以外の外の形を見ようと思われなさらず、仏法の声以外の他の声を聴こうと思われなさらない。(また)後生善所を願う以外の事を思われなさらない。御目には阿弥陀如来の相好をお見申し上げなさり、お耳にはかように尊い念仏をお聞きなさり、お心は極楽浄土に思いを馳せられ、御手には阿弥陀如来のお手を通した(五色の)糸をしっかりおにぎりになさって、北枕に西を向いて御伏しになっておられた。」と「栄花物語」に伝わる。源氏の君が亡くなったと思われるタイトルのみで本文はないという斬新さ。源氏の君、紫の上という主役が退場するが、物語は続き、次回は、瀬戸内寂聴が「本編よりも面白い」と評する「宇治十帖」と呼ばれる、源氏の君の子・孫の世代の物語と、源氏物語の様々な影響について4月号に掲載予定。(41) 幻「大空をかよふまぼろし夢にだに見え来ぬ魂の行へたずねよ」(42)雲隠れファイナンス 2024 Dec. 59

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